中国茶の豆知識
第2回:日常の疑問を解き明かす

Q1:緑茶の常飲をお勧めする理由

緑茶は、爽やかでみずみずしい味わいと豊かな香りを持ち、この上ないおいしさをもたらすことは、すでに広く知られている。また、日常的に緑茶を飲むことは健康面でも多くのメリットがあり、大まかに次の四つの効果が挙げられる。

一つ目は、フリーラジカルの除去である。緑茶は不発酵茶に分類され、茶葉に含まれるポリフェノール類は比較的豊富である。茶に含まれるポリフェノールは、ニトロソアミンなどの発がん性物質の体内生成を抑える働きがあるとされるほか、抗酸化作用によってフリーラジカルを除去し、DNAへの損傷を軽減する効果も期待されている。

二つ目は、光や電磁波による疲労感の軽減である。緑茶に豊富に含まれる茶ポリフェノールおよびその酸化物には、放射性物質を吸着する作用があるとされている。現代のオフィスワーカーは長時間パソコンに向き合い、さらにスマートフォンも手放せない生活を送っているため、日々さまざまな光や電磁波の影響を受けている。毎日一杯の緑茶を飲むことで、こうした影響を和らげる効果が期待されている。

三つ目は、アンチエイジング効果である。緑茶には抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれており、ポリフェノールやビタミン類は高い生理活性を有している。日本の学者・奥田拓勇氏の研究によれば、ポリフェノールの抗酸化作用はビタミンEの18倍に達するとされており、抗老化作用への関心も高まっている。

最後は、ストレス緩和である。若葉を使った緑茶にはテアニンやビタミンCが豊富に含まれており、緊張やストレスの緩和に役立つとされている。飲用後は疲労感を和らげ、気分をリラックスさせる効果も期待できる。

以上のことから、六大茶類の中でも緑茶は健康維持に役立つさまざまな特徴を備えており、日常的に長く楽しむのに適したお茶の一つといえる。

 

Q2:六大茶の中で最も希少なのは?

中国には六大茶類があり、緑茶、白茶、黄茶、烏龍茶、紅茶、黒茶を指す。その中で、最も希少で入手しにくいのが黄茶である。黄茶は六大茶類の中でも、生産量が最も少ない茶として知られている。

2019年は、中国の黄茶産業にとって大きな節目の年となった。この年、黄茶の生産量は前年比14.78%増となり、高い伸び率を記録した。さらに2014年と比べると、生産量は212%増加している。しかし、それでも2019年の黄茶の総生産量はわずか9,700トンにとどまり、中国全体の茶葉生産量の0.35%に過ぎなかった。

同じく比較的生産量の少ない茶類とされる白茶でも、2019年の生産量比率は1.78%に達している。つまり、白茶の生産量は黄茶の5倍以上に相当することになる。黄茶はもともとの生産量が極めて少ないうえ、長年にわたり熱心な愛茶家に支持され続けてきたため、市場に出回る量も限られている。

 

Q3:黄茶の生産量が最も少ないのはなぜか

主な理由は、黄茶の製法にある。黄茶は緑茶の製法を基礎として発展した茶であり、そこに「悶黄(もんこう)」という重要な工程が加わる。悶黄とは、湿熱作用を利用して茶葉中の苦味や刺激成分をさらに変化させ、茶湯をよりまろやかで甘みのある、刺激の少ない優しい味わいへと導く工程である。これによって、「何杯飲んでも飽きず、老若男女を問わず楽しめる」口当たりが生まれる。しかし同時に、この工程が製造の難易度を大きく高めている。

有名な蒙頂黄芽を例に挙げてみよう。蒙頂黄芽は黄芽茶の代表格であり、四川黄茶の最高級品として知られている。この茶の製造では、悶黄を一度行えばよいわけではなく、「三度の悶黄、四度の炒り」と呼ばれる、非常に手間のかかる工程を経なければならない。春はもともと茶農家にとって最も忙しい季節であり、茶摘みも製茶も時間との勝負である。黄茶のように手間と時間を要する製法は、茶農家や製茶師に大きな負担をもたらす。黄茶づくりに注力すれば、その分、高品質な緑茶の生産に影響が及ぶこともある。

さらに、春先の新芽そのものが高値で取引されるため、緑茶として仕上げるだけでも十分な収益が見込め、販路にも困らない。そのため、あえて工程を増やして黄茶を製造する必要があるのかという現実的な課題も生じる。加えて、悶黄には高度な技術が求められ、リスクも大きい。管理を少しでも誤れば、一ロットの茶葉全体が台無しになり、損失につながる可能性もある。

こうした理由から、黄茶づくりに取り組む茶師は年々減少しており、黄茶そのものもますます希少な存在となっている。

 

Q4:毎日3杯のお茶を飲み続けると、脳にはどのような変化が現れるのか

お茶を飲むことで脂肪代謝を助けたり、体をすっきりさせたりするなど、健康面でさまざまな効果が期待されていることをよく知られている。しかし、多くの人があまり知らないのは、日常的なお茶の習慣が、脳の健康維持にも深く関わっている可能性があるという点である。

2025年、日本の老化・認知症対策共同研究グループの研究者たちは、国際的な自然科学系学術誌に重要な研究成果を発表した。研究チームは8,766人の地域住民を対象に、脳の健康状態と生活習慣を追跡調査し、一つの重要な結果を導き出した。それは、「日常的にお茶を飲む習慣がある人ほど、脳白質病変の発生率が低い傾向が見られた」というものである。

脳白質病変は、認知機能の低下や血管性認知症、アルツハイマー病との関連が指摘されている。研究では、1日に600ミリリットル(約3杯)の茶を飲む人では、脳白質病変の体積比率が有意に減少し、さらに1日1,500ミリリットル(約7杯)を飲む場合には、その減少傾向がより顕著になることが示された。つまり、継続的に適量のお茶を飲むことは、脳の健康維持に役立つ可能性があるのである。

では、なぜお茶は脳の健康と関わりがあるのだろうか。その主な理由は、茶に含まれるカテキン類化合物にある。これらはフリーラジカルを効率よく除去し、高い抗酸化作用を発揮するとされている。中でもエピガロカテキンガレート(EGCG)は、神経保護作用との関連が注目されている成分である。

長年お茶を飲み続けている高齢者の中には、記憶力や思考力が保たれている人も少なくない。一杯のお茶が育むものは、単に健康だけではなく、日々の活力や思考の明晰さなのかもしれない。

 

Q5:どのような時に、お茶を飲むのを控えるべきか

長期的にお茶を楽しむことは、健康的な生活習慣の一つといえる。しかし、次のような状態が現れた場合には、一度飲むのを控え、体の反応に注意した方がよい。

第一に、「飲むほど空腹感が強くなる」場合である。

茶には脂肪代謝を促し、消化を助ける働きがあるとされるが、飲み過ぎると動悸や息切れ、めまいなどを感じることがある。これは一般に「茶酔い」と呼ばれる状態である。このような場合には、茶菓子などを口にしてエネルギーを補給し、それ以上の飲用は控えた方がよい。

第二に、「飲むほど喉が渇く」場合である。

茶には喉を潤す作用があるものの、水そのものの代わりにはならない。お茶を飲んだ後も適度な水分補給を心がけなければ、かえって口の渇きを感じることがある。このような場合には、お茶を控えて水分を補給する方が望ましい。

第三に、「飲んだ後に体が熱っぽく感じる」場合である。

一部のお茶は焙煎工程を経て作られるが、製造後すぐには飲まず、一定期間保存して焙煎による強い火香を落ち着かせることがある。飲んだ後に口の中の熱感や乾燥、不快感などを覚える場合は、その茶がまだ十分に落ち着いていない可能性もある。その場合は、しばらく飲用を控えた方がよい。

第四に、「飲んだ後に喉に違和感を覚える」場合である。

良いお茶は口当たりがまろやかで、喉越しも滑らかで心地よい。しかし、飲んだ後に喉が締め付けられるような感覚や不快感がある場合には、製茶工程や保存状態に何らかの問題がある可能性も考えられる。そのような場合は、無理に飲み続けない方がよい。

 

Q6:今の中国産緑茶から、昔ながらの味わいが薄れたのはなぜか

多くの人が、「今の中国緑茶には、昔のような味わいが感じられなくなった」と口にする。中には、「農薬の使用量が増えたためではないか」と考える人もいるが、それはやや単純な見方である。現在の茶葉生産は、安全基準や規制に基づいて行われており、たとえ有機栽培の緑茶であっても、その風味は昔とは大きく異なることが多い。

その最も根本的な理由は、茶樹の品種が変化したことにある。ここ数十年、中国各地の茶産地では、「優良茶樹品種」、あるいは国家級・省級の優良品種の普及が大規模に進められてきた。たとえば「烏牛早」は、もともと浙江省温州・永嘉県原産の品種であるが、現在では永嘉や温州だけでなく、浙江省全体における扁平形緑茶の主要品種となっている。また、「紅旗1号」は安徽省黄山市祁門県の紅旗村に由来する品種であり、現在では安徽省各地に広がり、黄山毛峰の主要品種となっている。

ここで、「優良品種を普及させれば、お茶の味も良くなるはずではないか」と疑問に思う人もいるだろう。しかし実際には、それほど単純ではない。ここでいう「優良茶樹品種」の「優良」とは、味の良さだけを意味するものではなく、耐寒性、耐旱性、病害虫への強さ、収穫量、摘み取りやすさ、管理のしやすさなどを総合的に評価したものである。言い換えれば、茶湯の味わいは、優良品種を選定する際の唯一の判断基準ではないのである。

つまり、現在広く栽培されているのは、「育てやすく、収穫しやすく、生産効率の高い品種」である。しかし味わいという点では、昔ながらの茶葉に及ばない場合も少なくない。

いわゆる「在来種(土着種)」とは、各地域で長年受け継がれてきた有性群体種を指す。この種の茶樹には二つの特徴がある。第一に、樹齢が高く、根が深く張り巡らされているため、土壌からより多くの養分を吸収できる。その結果、含有成分が豊富になり、味わいにも厚みと奥行きが生まれる。第二に、実生繁殖であるため、一株ごとに微妙な個体差があり、摘み取られた茶葉は自然に調和した状態となる。そのため香りは単調にならず、味わいにも豊かな層が生まれる。だからこそ、多くの人が昔ながらの味のほうに、より深みと長い余韻を感じるのである。

 

Q7:紅茶の木、緑茶の木は本当に存在するのか

実のところ、この世界に「紅茶の木」や「緑茶の木」というものは存在しない。紅茶、緑茶、白茶、烏龍茶、黒茶はいずれも、同じ茶樹から作られる。同じ茶葉でも、製法によって紅茶にも、緑茶にも、烏龍茶や白茶、黒茶にも加工することができるのである。

身近な例でいえば、小麦粉一袋から餃子の皮も作れれば、麺にも、パンにも、焼き餅にもできる。ただし、それぞれ向き不向きがある。茶樹も同じである。アミノ酸含量が高く、旨味の豊かな品種は緑茶に向いている。一方、茶ポリフェノール含量が高い品種は、必ずしも緑茶向きとは限らない。

たとえば、中国雲南省の大葉種茶樹は、茶ポリフェノールを豊富に含む品種として知られている。これをそのまま緑茶にすると、味わいが強く、渋みも際立ちやすい。そのため、一般には「滇紅」や発酵を経たプーアル茶に加工されることが多い。そうすることで、茶の性質はより穏やかになり、味わいにもふくよかさとまろやかさが生まれる。

また、鉄観音の茶樹品種も、そのまま緑茶として加工すると味わいが単調になりやすいが、発酵を施して烏龍茶に仕上げることで、その個性が十分に引き出される。

つまり、「紅茶の木」や「緑茶の木」が存在するわけではない。それぞれの茶類に適した茶樹品種と製法の組み合わせによって、多彩な茶の世界が生み出されているのである。

 

Q8:緑茶は早ければ早いほど良いのか

現在の緑茶市場では、確かに「早く出回る茶ほど高価」という傾向がある。たとえば、明前茶は雨前茶より高値で取引されることが多い。しかし、高価であることが必ずしも品質の高さを意味するわけではない。価格と品質が常に一致するとは限らないのである。

実際のところ、緑茶を楽しむうえで、必要以上に早摘みの茶を追い求める必要はない。中国には「苗を引っ張って成長を早めようとする」ということわざがあるが、これは自然の法則に逆らえば、かえって逆効果になるという意味である。茶葉も農産物である以上、本来の生育リズムに従う必要がある。

江南地域の緑茶は、通常、清明前後に出回る頃には十分に良質な状態に達している。もし清明よりあまりにも早い時期に摘み取られた場合、たとえ芽の形が美しく整っていても、「見た目は整っていても中身が伴わない」状態になりやすい。つまり、内部の栄養成分が十分に蓄積されておらず、茶芽が受けるべき日光や雨の恵みも不足しているのである。そのような茶は、飲んだ瞬間には確かに爽やかな印象を与えるが、味わいがやや淡く、じっくり楽しむには物足りなく感じられることも少なくない。

初物を味わう目的で、季節の楽しみとして少量を飲むのであれば問題はない。しかし、本当に茶を愛し、日常的に楽しむ人にとっては、極端に早い明前茶を過度に追い求める必要はないだろう。価格と味わいのバランスを考えれば、多くの場合、雨前茶のほうが現実的で、より満足度の高い選択となるのである。

 

Q9:祁門紅茶は、どのような香りを持つのか

上質な祁門紅茶の真髄は、古くから茶愛好家たちを魅了してきた「祁門香」にある。この神秘的で気品ある複合的な香りは、長年にわたり経験による鑑定に頼るしかなく、「言葉では表現しにくく、実際に味わって初めて理解できる香り」とされてきた。

筆者が収集していた古い資料を整理していた際、1990年5月24日付の『安徽日報』に掲載された記事を見つけた。そこでは、安徽省農業科学院祁門茶葉研究所が3年にわたる研究を経て、初めて科学的な観点から「祁門香」の正体を解明したと紹介されていた。

科学分析によれば、上質な祁門工夫紅茶には20種類以上の香気成分が含まれており、そのうち8種類の主要成分が「祁門香」を形づくる重要な要素となっている。これこそが、祁門紅茶の香りに豊かな厚みと長く続く余韻をもたらしている主な要因である。数ある香気成分の中でも、とりわけ際立っているのが、ゲラニオールを主体とするローズ系の香りである。そのため、祁門紅茶はバラを加えていないにもかかわらず、天然のバラ蜜を思わせるような優雅な香りを備えている。

この象徴的な「祁門香」は、祁門櫧葉種という茶樹品種の遺伝的特性と、祁門紅茶の伝統製法が融合して生まれた、まさに風味の奇跡といえる。機会があれば、ぜひ一度味わっていただきたい。

 

Q10:昔は平気だった緑茶が、今は胃に負担を感じるのはなぜか

「昔は緑茶を飲むと心地よく感じていたのに、今では飲むと胃が痛くなる。自分の体質が弱くなったのだろうか」と感じる人は少なくない。しかし、その理由はそれほど単純ではない。現在、多くの緑茶を飲んだ際に刺激を強く感じることがある背景には、緑茶の製造工程の変化が関係している可能性がある。

現代では、さまざまな分野で効率化が重視されている。それに伴い、伝統的な製茶工程の一部も簡略化、あるいは短縮されるようになった。たとえば、現在の緑茶では、摘み取った茶葉を広げて冷ます「萎凋・攤涼」の時間が十分でない場合がある。また、見た目を整えるために、殺青や揉捻の工程が従来より短くなることもある。さらに、乾燥工程においても火入れ温度が比較的低く設定されるケースが増えている。

こうして作られた茶葉は、形が美しく整い、鮮やかな緑色を持ち、茶湯も澄んでいて見た目の印象は非常に良い。しかし、その一方で、風味や飲み口は従来のものとは異なる場合がある。

たとえば炒青緑茶では、伝統製法において最後に「重火輝鍋(強火による仕上げ炒り)」という工程が行われていた。完成した茶葉には灰白色の茶霜が現れ、淹れた茶湯も完全に透明ではなく、わずかな濁りを帯びていた。しかし、その飲み口はまろやかで穏やかであり、飲んだ後にも心地よい感覚が残った。

一方、現在は製法の変化によって製茶時間が短縮され、炒青や乾燥の温度も低くなる傾向がある。その結果、見た目は美しく、茶湯も鮮やかな緑色で澄んでいる一方、本来製造過程で十分に変化する成分が残る場合もある。そのため、人によっては刺激を強く感じたり、胃に負担を覚えたりすることがあるのである。