「展示会場」から「都市体験ビジネス」へ

このほど、国際展覧業協会 が発表した『世界展覧業統計報告2026』によると、2024年に世界で開催された展示会は3万2000件に達し、出展企業は470万社、来場者数は延べ3億1800万人、創出された雇用は430万人規模となった。

関連市場調査によれば、世界の展示会市場規模は2026年に325億1000万ドル(約4兆7000億円)へ達し、2035年には約1578億ドル(約22兆9000億円)規模まで拡大する見通しで、年平均成長率は19.19%に達すると予測されている。世界の展示会業界は今、力強い回復と新たな成長サイクルを迎えている。

現代サービス業の高度形態として、展示会産業は高い経済波及効果と産業連動性を持ち、世界各地の都市が競って発展を目指す重要分野となっている。産業チェーンの観点から見ると、上流には会場建設、設備レンタル、展示設営などがあり、中流では展示会企画、出典誘致、現場運営などを担う。さらに下流では、ホテル、飲食、娯楽、観光など多様な業態へと広がり、多くの関連産業を活性化している。近年、多くの都市が地域資源を活用しながら関連サービスを強化し、展示会ビジネスの高度化を進めることで、世界の展示会産業には新たな潮流が生まれている。

第一に、産業との融合が進み、展示会が地域の基幹産業と深く結びついている点である。世界ではすでに、「産業が展示会を育て、展示会が産業を促進する」という産業都市融合の段階に入った都市も少なくない。代表例がドイツ・フランクフルトである。同市の展示センターでは毎年10以上の世界的専門展示会が開催され、自動車、化学、金融など地域の優位産業と深く連携している。展示会は技術交流、イノベーション創出、世界的資源配分の重要拠点となり、一方で基幹産業は展示会に専門性と来場者基盤を提供することで、「産業―展示会―都市」の好循環を形成している。

第二に、「展示会+」モデルが新たな成長分野となっている点である。体験型経済の時代を迎え、「展示会+観光」「展示会+テクノロジー」「展示会+スポーツ・健康」など、異業種融合モデルが次々と登場している。韓国・ソウル市は今年初め、『2026ソウル市展示会産業育成計画』を打ち出し、ビジネス展示会と都市体験の融合を明確に打ち出した。ホテル、美食、ショッピングなどの資源を統合し、「マイクロバカンス」型商品を設計している。例えば、午前中は半導体フォーラムに参加し、午後は韓流メイク体験、夜は明洞でグルメを楽しむといった形である。この「展示会+観光」モデルは、短期的な人流を長期的な消費へ転換するだけでなく、都市ブランドの向上にもつながり、「ビジター経済」の価値を拡大している。

また、オーストリア・ウィーンでは「レガシープロジェクト」を展開し、国際医学会の専門家による地域医療支援、教育会議参加者と地元学校との交流、環境会議代表による都市環境政策への参加などを推進している。展示会はもはや「孤立したイベント」ではなく、「社会価値を共創するプラットフォーム」へと変化し、都市の魅力やブランド価値向上にも寄与している。

第三に、サービスの高度化が進み、デジタル化と持続可能性が並行して推進されている点である。多くの都市がデジタル技術やグリーン技術を活用し、通関、金融、物流などを含む全プロセスサービスを高度化させている。UAE・ドバイ空港では2025年、AI通関システムを導入し、10人同時の顔認証による「無感通関」を実現した。書類提示不要で、通関時間は30分から3分へと短縮された。

一方、シンガポール は、世界で初めて世界持続可能観光協議会(GSTC)の認証を取得した「持続可能観光都市」となった。カーボンフットプリント管理、グリーン交通、環境配慮型飲食などを含む体系的なグリーン展示会基準を構築している。この取り組みは、高級国際会議誘致の重要な競争力となるだけでなく、都市の発展理念やガバナンス水準を示すものでもある。

「会議を開く場所」から「展示会産業」への変化は、世界のサービス業が体験型経済へ向かう大きな転換を映し出している。展示会産業の競争は、単に「より良い展示場を提供できるか」ではなく、「より独自性のある体験を提供できるか」に移っているのである。これは都市ガバナンスに対して、より高い水準を求めるものでもある。

今後、政府機関や社会組織は、資源統合、専門サービス、ブランド発信において、さらに重要な役割を担うことになるだろう。すでに一部都市の展示会部門では、「会場調整者」「観光地マーケター」という役割を超え、「都市コンテンツ管理者」「都市体験デザイナー」「都市経済推進者」へ転換する方針が打ち出されている。誘致から開催までを支える「全周期サービス」を提供し、「ワンストップ型」展示会サービス体系の構築を目指している。

もっとも、現在の世界展示会業界は、地政学的対立、景気変動、運営コスト上昇、デジタル転換など多くの課題にも直面している。展示会産業の競争力向上には、それぞれの都市が自らの産業・文化的特色を踏まえ、専門化、融合化、持続可能化の道を進む必要がある。

展示会が単なる事務的イベントではなく、「忘れがたい体験」となった時、展示会経済の潜在力はさらに大きく解放されるのかもしれない。