この春、中国のニュースタイル・ティードリンクチェーンがグローバル展開を加速させている。1月30日、「Naìsnow(奈雪」」が米国西部初の店舗をシリコンバレーにオープンし、2月16日には「HEYTEA(喜茶)」がカナダ・トロントに、同国初となるコンセプト店をオープンした。さらに4月11日には「Mixue Ice Cream&Tea(蜜雪冰城)」がブラジル・サンパウロに南米初の店舗をオープンした。
中国のニュースタイル・ティードリンクチェーンのグローバル展開は、中国の茶文化を世界の若者向けに、おしゃれなドリンクとして紹介する試みである。中国連鎖経営協会が定めた『ニュースタイル・ティーの用語と分類』には「ニュースタイル・ティーとは、茶葉または茶液をベースに、果物や搾りたての果物・野菜ジュース、乳製品などを組み合わせ、必要に応じて他の食品を加えつつ、固形飲料は用いず、店頭で加工して提供される液体または半液体の飲料」とある。
今年4月、中国連鎖経営協会は「2026年中国外食・ニュースタイル・ティー海外進出ブランド50」を発表した。それによると、Mixueは海外店舗数が4000店を超え、CHAGEE(霸王茶姫)も200店以上を展開している。HEYTEA、 Cha Panda (茶百道)、Naìsnow、Chahalo(茶話弄)、Molly Tea(茉莉奶白)なども相次ぎ海外に出店している。「東洋の味」を求めて多くの消費者が何時間も並ぶ状況だ。
海外での人気ぶり
1月30日にオープンしたNaìsnowのシリコンバレー店では、開店当日から長蛇の列ができた。行列は店舗入口から広場のメインストリートまで伸び、3時間以上待つ客もいた。オープンから3日間の売上は9.4万ドル(約1457万円)を突破した。
「中国人の同僚に勧められていたが、会社のすぐ側にできたら来るしかないでしょう。」とアップルのエンジニアは話し、2時間並んだという地元住民は「行列が気になったので、試してみようと思って…」と笑顔で話した。
昨年4月、Mixueは中央アジア初となる店舗をカザフスタンのアルマトイにオープンした。現地のインフルエンサーは動画で「行列の向こうにはMixueがあった」と紹介した。海外のSNSには、チャイニーズドリンクを手に「おいしい」「美しい」「また来たい」などの投稿が多くアップされている。
鍵は良質の茶葉
2024年11月、シンガポールの丘慧娜さんは、オーチャード・ロードのCHAGEEで、茶葉から抽出した本格ミルクティー「伯牙絶弦(Boya Jasmine Green Milk Tea)」を購入した。「一口飲んで、夫に『これでみんなが列を作って買う理由がわかったわ。本物のお茶の味がする』と言ったの」と、興奮気味に話した。
これまで彼女が飲んできたミルクティーは甘ったるいもの多かったが、天然の茶葉を使ったフレッシュミルクティーはすっきりとした味わいで、ミルクティーの固定観念を覆すものだった。その後、彼女はCHAGEEのアジア太平洋オペレーションチームに加わった。彼女は「天然の良質な茶葉から抽出された本物の茶の味わいが、海外の消費者の味覚をとらえているのです。」と語る。
「良質な茶葉」が、ニュースタイル・ティーが海外で人気を集める大きな要因となっている。Molly Teaは、ニューヨークの公式サイトに「広西・横州の二重花弁のジャスミンや四川・雅安蒙頂山の高山茶などを使用し、『七窨製法』によって香りを引き出した」と紹介している。Chahaloは桂花烏龍茶をベースにした「桂花引」や金駿眉をベースにした「梅占揺紅」などのヒット商品を展開している。
品質を確保するため、MixueやGood me(古茗)は、茶葉の主要産地から直接仕入れ、自社生産システムを構築し、栽培から販売までのサプライチェーンを一体管理している。2026年業界白書によると、契約栽培と先端技術によって農業の生産現場を作り替え、農作物の標準化を進めるとともに、全自動化された生産ラインを整備することで、茶葉を「農産物」から消費財製造のための「標準化された工業原料」に転換するとある。
ニュースタイル・ティーブランドは、商品パッケージや店舗デザインに伝統的な茶文化と現代的な要素を融合させた「チャイナテイスト」を打ち出すことで、海外の消費者を引きつけている。
ロンドンの大英博物館近くには、水墨画をモチーフにしたHEYTEA の店舗がある。天井のインタラクティブスクリーン、店内にしつらえられた岩山の景観、水墨画を思わせる造形の円形座席が一体となり、茶を味わい、庭をそぞろ歩き、事物を鑑賞するという、中国の伝統美学を体現した空間を創り出している。
CHAGEEは歴史上の故事を商品名に取り入れ、東洋文化の世界観を演出している。タイの大学生は、爽やかな味わいに加えて、背景にある文化も感じられることが魅力と語る。
HEYTEAの海外店舗には茶葉や製茶工程を紹介する「ラボ」が設けられ、客は一杯のお茶ができあがるまでの過程を間近に見ることができる。
専門家は、ニュースタイル・ティーは文化的アイデンティティを伴った消費空間を生み出し、海外の若者が中国文化に触れる新たな機会を創出していると指摘する。
グローバル展開に当たっては、各社とも現地の消費者の嗜好を十分に考慮したローカライズに努めている。市場調査に基づき、ブランドアイデンティティを維持しつつ、甘味、原材料、配合を調整し、現地食材も取り入れている。
業界関係者は、中国のニュースタイル・ティー業界は、サプライチェーン、商品開発、デジタルオペレーションにおいて高い優位性を備えていると分析する。業界は、品質と文化を基盤にグローバル展開を加速させる。
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