八月初旬の北京。真夏の強い日差しが照りつける中、澄んだ和泉のように、静かに人びとの心を潤す交流があった――北京通州区宋庄鎮の静かな一角で、現代中国書道の大家・汪鐘鳴氏と、中国茶文化学者で日本中国茶研究所所長の楊多傑氏が「書道と茶」をテーマに語り合った。

楊氏は墨の香りが漂う汪鐘鳴氏のアトリエ「墨趣斎」で温かなもてなしを受けた。汪氏は開口一番、楊氏がこのほど日本東方出版社から刊行した『明刊問奇閣本「茶経」』に言及し、この書は中日茶文化交流の架け橋であり、その功績は後世に語り継がれるだろうと高く評価した。
楊氏は謝意を述べ、汪氏の書道に敬意を示すとともに、自らが編纂した『明刊問奇閣本「茶経」』を贈呈した。そして、陸羽の七千余字に及ぶ『茶経』を書にして、貴重な文化遺産として後世に残していただきたいと望んだ。汪氏は著書を受け取ると目を輝かせた。氏は、陸羽が『茶経』の著者として知られるだけでなく、卓越した書道の腕前を誇っていたことを理解していた。楊氏は、陸羽と歴代の書の大家たちとの深い縁に思いを巡らせた。陸羽は顔真卿や懐素ら書道の大家と頻繁に交流して切磋琢磨し、『論徐顔二家書』などの専門書を著した。それらは後世の貴重な財産となっている。

汪氏は続いて、自ら揮ごうした欧陽修の『秋声賦』を披露した。楊氏は、その行間に滲む情趣に心を動かされ、自身の茶詩集に収めた欧陽修の『和梅公儀嘗茶』を思い起こし、茶と書は時空を超えて深く結びつき、人々の心に響き続けることを改めて実感した。



話題が宋代の文人・蘇軾に及ぶと、楊氏は興奮を隠さず、蘇軾が書の大家であると同時に茶の愛好家でもあったことを語った。司馬光が「なぜ茶と書の両方を好むのか」と尋ねた際、蘇軾が即座に「茶の香と墨の堅さはいずれも道徳心を映し出し、精神面で通じ合うものがある」と答えた逸話を紹介した。汪氏はこれに応じ、自らが揮ごうした蘇軾の代表作である『一夜帖』と『黄州寒食帖』を披露した。そこには、茶と書が精神世界で共鳴し、蘇軾が茶を味わいながらしたためた、茶の香りと墨の香りが織り成す独特の芸術世界が息づいていた。
汪氏はさらに、超然とした心境で茶を楽しみ、質素な暮らしを映し出す清代の書画家・鄭板橋の対聯「汲来江水烹新茗、買尽青山当画屏(川の清らかな水を汲んで新茶を煎じ、はるかに連なる青山をそのまま絵屏風とする)」「掃来竹葉烹茶葉、劈碎松根煮菜根(竹の葉を薪にして茶を点て、松の根を割って菜を煮る)」を紹介した。楊氏はこれに深く共鳴し、とりわけ鄭板橋の「六分半書」の書法を好んでおり、書風と茶道の精神は互いを引き立て、中国の伝統文化の奥深さを体現していると語った。このような作品は茶室に掛けても、書斎にしまっておいたとしても、芸術の宝であり、精神の拠り所となるのである。

楊氏が、中日両言語による季刊『日中茶界』を日本で創刊する予定であることを伝えると、汪氏は喜んで誌名を揮毫した。墨の香りと茶の香りが溶け合い、中日茶文化交流の新たな一章の幕開けを予感させる瞬間であった。
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