今月3月20日から6月28日まで、イギリスのアーティスト、ダミアン・ハーストによるアジア初の大規模個展が開催される。これに先立ち、韓国国立現代美術館(MMCA)で行われた記者会見に出席する機会を得た。
会場には100名を超える国内外の主要メデイア関係者が詰めかけ、本展への注目度の高さがうかがえた。
私も、ある評論家の推薦により、ようやく参加することができた。
ダミアン·ハーストとダイアモンド作品 MMCA提供
The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living 1991 MMCA提供
展示現場第4展示室 MMCA提供
A Thousand Years (1000年) 1990年 MMCA提供
ダミアン・ハースト(Damien Hirst)は、周知の通り、イギリスを代表する現代アートの巨匠で、死と生、そして科学をテーマとした作品で知られる。なかでも、ホルマリン漬けのサメをガラスケースに収めた作品が『生者の心における死の物理的不可能性』は、その代表作だ。本展では、同作に加え、初公開作品も含めて一堂に展示される予定だ。
本展のタイトルは『Damien Hirst: Nothing Is Trsu But Everything Is Possible』であり、日本語に訳せば「真実はない。だが、すべては可能である」となる。会場は韓国・ソウルの国立現代美術館(The National Museum Of Modern And Contemporary Art, korea,MMCA)で、会期は3月20日から6月28日までだ。
先述のサメの代表作をはじめ、本展は作家の創作活動を包括的に紹介するアジア初の大規模個展である。インスタレーション、彫刻、絵画など、キャリアを網羅する50点超の作品が展示され、その多くはアジア未公開の作品となる。
YBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)の一人であるダミアン・ハーストは、トレイシー・エミンらとともに、90年代という時代が生んだアートグループである。彼らは自由な手法と挑発的な表現によって、90年代の英国美術を象徴する一方で、しばしば物議を醸す存在でもあった。東京の国立新美術館では「YBA&BEYOND展」が開催中で、90年代のそうした表現と時代性を、現在の視点から批評的に捉え直す試みがなされている。韓国と日本、二つの展示会を合わせて鑑賞することがお薦めだ。
90年代の若手アーティストグループは、今やすでに若い世代ではないが、80年代のイギリスで育ったYBAの作家たちは、労働者階級出身の創造的な人々であり、貧困や対立の時代に応答する形で、芸術を通して日常に新たにフォーカスし、生活の複雑性をギャラリー空間に持ち込んでいた。しかも、彼らはこれまでのアートで使用されなかった素材を取り入れ、「現実性(Reality)」や「真正性(Authenticity)」を強く意識した作品を生み出し、強度のある日常のリアリティを表現していた。YBAは、1990年代前半から中頃にかけて、ゴールドスミス・カレッジをはじめとするロンドンの美術大学から登場した、若く革新的なアーティストのグループだ。90年代後半、「クール・ブリタニア」がイギリスの生活や文化の一部となり、この用語は「若さ」や「革新性」を強調する英国文化を象徴するブランドとなった。本展は、東京の国立新美術館(2月11日~5月11日)のあと、京都市京セラ美術館(6月3日~9月6日)へ巡回する。テート・ブリテンの現代美術部門キュレーターであり、テート美術館の国際プログラムにも携わるヘレン・リトルはこう述べる。「個人的には、YBAは『様式(style)』ではなく、『姿勢(auttitude)』だと考えている」。
韓国のダミアン・ハースト展に話を戻すと、90年代のイギリスにおける「クール・ブリタニア」に対して、「クール・ジャパン」やK-POP、韓流文化といった韓国と日本のサブ・カルチャーが世界の注目を集めている。偶然かもしれないが、K-POPを代表するBTSの活動再開に合わせ、大型コンサートが21日にクァンファムン前で開催され、世界中からファンが押し寄せているらしい。アート・シーンでは、国立現代美術館に人が2、3日前から集まってきている。
今回の展示では、代表作であるホルマリン漬けのシリーズ「ナチュラル・ヒストリー」をはじめ、「スピン・ペインティング」「メディスン・キャビネット」「桜」「スポット・ペインティング」「バタフライ・ペインティング」といった象徴的なシリーズも含まれ、キャリアを通じて美、宗教、科学、生と死の間にある複雑な関係性を追求してきた作家の代表的なテーマをたどる内容となっている。
筆者と金館長、MMCA提供
館長のキム・ソンヒ氏は次のようにコメントしている。
本展は、アジアで過去最大規模のダミアン・ハースト展であり、MMCAで開催されるこの展示会を通して、作家の実践を掘り下げて紹介するとともに、現代の生や価値観について幅広い議論を促すプラットフォームを創出することを目指しています。(プレスリリースより)
中東地域では戦争が続く現在の情勢下で、現代を生きる私たちは「死」と「生」をいかに再定義すべきかが問われている。大多数の意見、あるいは強い者の論理が必ずしも正しいとは限らないが、私たちは長いものに巻かれてはいないか、あらためて考え直すべき時代である。複雑に絡み合うさまざまな「関係性」の中で、私たちは何にこだわり、何に妥協し、そして何に屈しているのか。理念なき時代において、AGI時代へと突入した科学技術の発展の中で、不死身になったかのように勝ち誇る現代の私たちは、なぜこれほどまでに愚かな行為を繰り返し、学習能力に欠けているのか。

洪欣
東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。ダブルスクールで文化服装学院デザイン課程の修士号取得。その後パリに留学した経験を持つ。デザイナー兼現代美術家、画廊経営者、作家としてマルチに活躍。アジアを世界に発信する文化人。
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