鈴木 政司 株式会社FD代表取締役社長
中小企業が日本のエネルギー業界に新風を吹き込む

株式会社FDは、設立からわずか26年で、日本の再生可能エネルギー業界において確かな存在感を示す企業に成長した。電気設備工事で身を起こし、今では大規模太陽光発電プロジェクトを請け負うほか、ソニーやパナソニックなど業界大手に画期的なソリューションを提供する。その発展の軌跡は、日本のグリーンエネルギー転換の縮図とも言える。その原動力になっているのが、現場叩き上げの経営者――鈴木政司社長である。

『人民日報海外版日本月刊』最終号となる本号では、編集部に鈴木社長をお招きし、一中小企業が「革新」と「誠意」をもっていかに日本のエネルギー業界の未来を切り拓いてきたのか、その歩みと展望についてお話をうかがった。

人助けから

業界のパイオニアへ

―― 御社は電気設備工事から事業を始め、現在では再生可能エネルギー分野のリーディングカンパニーへと成長されました。起業のきっかけと、どのように時代の波を捉えられたのかお聞かせください。

鈴木 もともと、父が小さな電気工事会社を経営しており、私は高校を卒業して父の会社に入りました。父と私は性格が似ていて、現場でぶつかることも多く、いっそのこと起業しようと思い立ち、1999年に個人事業主で創業し、2001年に法人化し、株式会社FDを設立しました。

2012年前後に太陽光事業に参入しました。当時、日本では産業用太陽光発電が急速に普及し始めていましたが、実務経験者はほとんどいませんでした。そんななか、お客様から「いま太陽光が伸びているけれども、皆困っている。話を聞いて手伝ってもらえないか」と相談を受けました。そこでまず話を聞き、できることから手伝い、学びながら取り組む――その繰り返しで事業を拡大してきました。

経験者がいないからこそ、最初に動いた者は情報を得ることができます。その後、施工に困っている会社に「FDに相談してみてはどうか」と勧めてもらえるようになりました。

当社の発展は、遠大な戦略があったからではなく、人の役に立とうとするところから始まったと言えます。困っている人がいれば駆けつけて解決する——この精神は今も変わらず当社の根幹にあります。

最後まで責任を果たす

―― 電気設備工事から太陽光発電プロジェクト、さらには大企業の電力革新へと事業を広げるなかで、最も大きな困難は何でしたか。

鈴木 新しい事に挑戦すれば、失敗するのはむしろ当たり前です。これまで数多くの失敗も経験してきましたが、挑戦そのものが楽しく、これからも続けていきたいと思っています。行き詰まったときにはチームで徹底的に考え、突破口を探り、不可能を可能にしてきました。試行錯誤を重ね、プロジェクトを完遂させたときの喜びは格別です。

もちろん、まだ多くの課題はあります。しかし、どんな課題・失敗に直面しても逃げることなく、最後まで責任を果たすことを信条としています。

 

中小企業だからこその専門性

―― ソニーやパナソニックなど企業とのプロジェクトが相次いでいます。御社が選ばれた決め手は何だったのでしょうか。

鈴木 第一に、誰にも思いつかないような提案ができることです。ソニー様への提案では、最初に返ってきた反応は「そんなこと、できないでしょ」でした。普通に考えたらできないことですができる方法を考え抜き丁寧に説明することで理解していただけました。

第二に、一つひとつの案件に全力を注げる点です。企業によって状況もニーズも異なりますが、一般的な事業者はひとつの型にはめた提案をされているように思います。当社はA社にはA社の、B社にはB社の解決案を提案します。企業が必要としているのは、より安価な電力であって、定型プランではありません。

第三に、「現場力」です。パナソニック様が携先を選定した際、当社を含む3社が最終候補に残りました。他社が形だけの視察をする中、当社のスタッフは、まるで翌日から工事を始めるかのように現場を一つひとつ確認しました。私たちは現場を最優先に考えています。その姿勢そのものが、当社の競争力になっています。

グリーンエネルギーを

産業と暮らしへ

―― 御社はグリーンエネルギーの推進において、再生可能エネルギーの普及のみならず、畜産農家の生産環境や収入構造の改善にも貢献され、高い評価を得られています。

鈴木 太陽光事業において、最も大きなコスト要因のひとつが土地にかかる取得費、開発費です。既存の屋根を活用できれば、このコストを大幅に削減できます。

農家のメリットはまず賃料収入です。これまで価値のなかった屋根が安定した収益源になります。さらに、環境の改善が生産効率の向上につながります。夏場の高温は牛の食欲低下、夏バテを招き、死に至ることもあります。太陽光パネルの設置によって屋根が遮熱層となって牛舎内の温度が下がり、牛の死亡率が減少し、賃料以上の価値を生みました。

こうして、グリーンエネルギー推進コストの削減と、畜産現場の課題解決を同時に実現することができました。これは「1円でも安く、1 kWhでも多く提供する」という当社の理念に沿った取り組みです。

 

国境を越えた

使命感と責任感

―― 御社は日本国内で培ったハイレベルなサービスをアジアに展開し、アフリカへの進出を最終目標に掲げておられます。なぜアフリカなのか、また、国際協力において最も大事にされている点は何でしょうか。

鈴木 日本では電気はあって当たり前ですが、世界に目を向けると必ずしもそうではありません。アフリカでは依然として電力が不足しており、多くの地域では最低限の電力さえ供給されておらず、子どもたちの学習環境も保障されていません。私は、無限の可能性を秘めた子どもたちが、生まれた土地や育った環境によって人生が左右されてしまうことに強い疑問を抱いてきました。

「電気を必要としている地域に届けたい」「世界のすべての子どもたちの可能性を広げたい」「電気が当たり前にある世界をつくりたい」――どんな困難があっても、これらの夢は実現できると信じています。

私の最終的な目標は、アフリカに数多くの太陽光発電所を建設し、その収益で現地の子どもたちに教育と生活の基盤を提供することです。これは私のビジネスの枠を超えた取り組みです。

国際協力に対する当社の理念は、日本であれ海外であれ、「1円でも安く、1 kWhでも多く提供する」ことです。ただし海外では、自分はよそ者だという自覚を持ち、現地の文化や習慣を尊重すべきです。「いいものだから」という理由で日本のやり方を押しつけてもうまくいかないと思います。

 

取材後記

現場で鍛え上げられた叩き上げの経営者が、今や業界大手と肩を並べるイノベーターに成長した。日本でグリーン化が進む中、鈴木社長はFDを率いて、最もシンプルかつ実直な方法で独自の道を切り拓き、一つひとつの課題を確かなソリューションで解決に導き、日本の新エネルギー産業を前進させてきた。FDが生み出すソリューションが、日本、そしてアジアのエネルギーの未来に新たな可能性を提示している。