近年、工業観光は新たな業態として注目を集めている。多くの旅行者が、工業文化・技術展示・観光体験を兼ね備えた“生きた工業叙事詩”を訪れ、写真撮影だけではなく、都市の工業的な遺伝子と発展の脈動を読み解こうとしている。
参加型研修旅行の生徒と教師が螺螄粉文化展示館を見学する様子
「透明な工場」からたどる
一杯の麺の「過去と現在」
広西チワン族自治区柳州市の柳州螺螄粉産業園は、国家4A級観光地であり、「酸味の魅力」で注目された工業観光モデル地区として連日多くの国内外観光客を迎えている。工業観光が広がる中、螺螄粉工業ツアーは市場の“ダークホース”として急成長し、製造工場から展示館、研修施設、文創ショップまで“美味しさの秘密”を求める来訪者でにぎわう。小さな一杯の螺螄粉が、工業と文化観光をつなぐ原動力となっている。
「螺螄粉って、貝の身は食べず石螺でスープを取るんだ」「酸筍は発酵して初めて酸味が出るんだ」。生徒たちは聞き入って記録し、巨大模型の前で写真を撮った。引率の覃錦芳教諭も、約40人の生徒が体験区で楽しむ様子をスマートフォンに収めていた。
螺霸王の透明工場では、約200メートルの通路を進みながら、自動化された製造工程を大型ガラス越しに見学。覃教諭は「これこそ研修。本当の工業に触れ、文化を感じ取ることが大切です」と語る。DIY教室では、14歳の楊智宇が自ら詰めた螺螄粉を抱え「こうして出来るんだ!」と喜び、帰ったら家族と味わう予定だ。
螺霸王は「柳州螺螄粉製造技術」(国家級無形文化遺産)を基に、《腌笋》《熬湯》《製粉》などの研学プログラムを開発し、教室や体験区も整備した。
「工場」から「観光地」へ
柳州市は螺螄粉文化を核に、「透明工場」「前店後工場」モデルの導入を進め、見学・休憩・体験を一体化した工業観光拠点を形成。企業の知名度と収益の向上に寄与し、柳州独自の工業景観が生まれた。2023年には螺螄粉産業園が国家工業観光モデル基地に認定された。
年間10万人が来訪
ブランド力も上昇
「年間の訪問者は約10万人。団体予約は毎月満員です」と雷潔氏。螺螄粉人気の高まりと海外市場展開に伴い、視察や研修も急増している。周文玲氏によれば、商業関係者や人気配信者に加え、全国から研学団や旅行団が訪問。100社以上の旅行会社・研学機関が協力を希望し、文旅戦略による関連売上は年30%増。2021年以降の観光収入は累計約3000万元(約6億6000万円)に達した。
食べるだけから
作って楽しむ体験型の旅へ
「お父さん、お母さん。柳州螺螄粉産業園から“味のある”贈り物を送ります。気に入ってもらえますように」。広西沪桂食品集団有限公司(以下「沪桂公司」)が中国郵政と共同設置した螺螄粉テーマ郵便局で、重慶から来た観光客・陳麗さんは、コラボデザインの絵葉書にそう書き添えて投函した。数日後にはこの“想い”が届けられるという。
外観は普通の郵便局だが、館内には螺螄粉をモチーフにした要素が随所に散りばめられている。入口の棚には明信片、封筒、切手、扇子、マグネット、ギフトバッグ、スタンプ帳など文化創意商品が並び、どれを選ぶか迷うほどだ。郵局スタッフの藍素偵氏によれば、研学旅行を含む1日千人以上の来訪があり、商品は頻繁に補充が必要になるほど人気だという。
「工業観光がこんなに楽しいとは思いませんでした。見るだけでなく、実際に作り、食べられるなんて」。螺螄粉好きの陳麗さんは、製造工程を目にし、試食したことで「これからはもっと安心して味わえます」と笑顔を見せた。絵葉書に加え、螺螄粉関連商品を袋いっぱい購入し、同好の友人にも贈るという。
文化観光とIPの融合は工業観光に新たな活力を与えている。柳州市魚峰区文化体育広電旅遊局党委書記・杜冬桃氏によると、「柳州螺螄粉製作技術」(国家級無形文化遺産)を基に、DIY制作や創作宴席、試食官募集など、体験型企画を展開。園区企業は「螺螄粉 × 郵便局」「× 宇宙」「× 紫荊花」「× 自動車」など100種超のコラボ商品を開発し、柳州特有の文化を形成している。
夕刻、広西中柳食品科技有限公司(以下「柳江人家」)全国運営センターは湯気と活気に包まれていた。透明キッチンでスタッフが麺を茹で、店長の陳雅琴氏らが次々入るテイクアウト注文に追われている。店内では来訪者が螺螄粉をすすり、味わっていた。
「明日は40人規模の大学生視察団が食事を予約しています」と陳氏。ここは柳江人家のオフライン体験店舗で、企業視察の受け入れや従業員食堂、即食販売も可能。加盟店運営者の研修も行われる。来訪者は麺茹でから具材投入まで一連の工程を体験でき、「酸筍が苦手でも、手を動かして試食すると好きになる人が多いんです」と陳氏も笑う。
多くの来訪者が試食後に袋入り螺螄粉を購入し、親族や友人へ発送。「前店後工場」による工場+観光モデルは、企業への信頼感とブランドイメージを高めている。
一杯の麺が人を街へと誘い、食べる者は旅行者へ――。2025年第3四半期までに、柳州螺螄粉産業園には延べ12万9000人の研学旅行客が訪れ、観光消費額は1009万7800元(約2億円)に達した。柳州の工業観光は都市の新たな「名刺」として世界へ発信されつつある。
柳州市文化広電旅遊局局長の劉莉氏は、「螺螄粉文化観光ブランドを引き続き強化し、製作技術の保護と継承を推進します。展示館整備と、体験と回遊を組み合わせた観光ルートを展開し、文化が産業を支え、観光が価値を高める形で柳州製造業の発展につなげます」と述べた。
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