任 序航 東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(TUBC)中国人選手
日本のコートで中国バスケットボールの新たな道を拓く

「桜木花道の闘志に、流川楓のルックスを兼ね備えた男」――東京ユナイテッドバスケットボールクラブが中国人選手を獲得したとのニュースは、バスケットボール界に瞬く間に広まった。「中国籍の外国人選手」というキーワードが記者の注目を集め、「任序航」の名前はすぐに取材リストに加えられた。

このほど本誌は、TUBC初の中国籍選手であり、さらに日本のリーグで初めて中国の育成プログラムによって育成された外国人選手である任序航氏を取材し、日中バスケットボール交流の物語をうかがった。

奇跡を生む男、中国の
センターをスカウト

大粒の汗が床に落ちる。攻守が切り替わるたび、バスケットシューズの靴底が床と擦れる音がコートに響く。TUBCの拠点である有明アリーナで練習中の任序航は、ステップを踏み、身を翻し、フェイントを入れ、ボールをリングへと沈めていく。その姿はひときわ存在感を放っていた。

2021年に設立されたTUBCは、バスケットボールやエンターテイメントを通じた新たな出逢いを生み出し、地域に根ざして、グルーバル都市TOKYOにさまざまな人々のつながりとコミュニティを生み出すクラブを目指している。昨シーズン(2024-25)は勝率82.7%という素晴らしい成績でB3リーグ上位に名を連ねた。今年はB3からB.LEAGUE ONEへの参加ライセンスの取得も果たした。

クラブの代表を務める家本賢太郎氏は、日本の経済界・テクノロジー界における伝説的人物である。「ゼロからの挑戦」を信条とする彼は、先見の明をもって、身長2メートル7センチのセンター・任序航に狙いを定めた。

任序航はフットワークが軽く、ゴール下での支配力に優れ、技術的能力も高い。試合の流れを読み、瞬時に判断を下すこともできる。日本のプロバスケットボール界において、その高さは、攻守両面において支点となることが期待されている。インサイドプレーで重要な役割を担うセンターには、全体を統率し、攻守両面を支える能力が求められる。任序航には新戦力として大きな期待が寄せられている。

遼寧から世界へ、
新たな挑戦

中国プロバスケットボールリーグ(CBA)を知る人であれば、遼寧チームの実力について多くを語る必要はないだろう。「遼寧なしに代表チームはつくれない」と言われるほどで、同チームは長年にわたって中国バスケット界を支配してきた。呉乃群、郭士強、郭艾倫――遼寧チームは常に代表の中核を担う選手を輩出してきた。

任序航もまた、遼寧男子バスケットボールユース養成プログラムが生んだ逸材の一人である。2022年にはU19ユースリーグ遼寧チームに選出され、チームは全国4位の好成績を収め、その3年後には、中国U21バスケットボールリーグ決勝ラウンドで「最優秀リバウンド王」の栄誉に輝いた。今回の日本行きは、チームメイトや先輩の後押しを受けて決断したものだ。異なる体系に触れ、多様な戦術や技術を身につけてほしいと、任序航に大きな期待を寄せている。

中国のユース養成プログラムで育った身長2メートル7センチのセンタープレイヤーは、どこへ行っても注目の的だ。取材のカメラに向かって、彼が最も多く口にしたのは感謝の言葉だった。支え続けてくれた母と姉、最初のチャンスを与えてくれた母校であるバスケットボールの名門・瀋陽第二中学、才能を見出してくれた恩師、センターとして育ててくれた遼寧チームのコーチや先輩、期待を寄せてくれた家本賢太郎代表、温かく迎えてくれたTUBCのチームメイトたち――。コート上で見せる剛毅で勇敢な姿とは打って変わり、任序航は照れくさそうに微笑んだ。

夢について尋ねられると、すでに試合に出場している任序航は「早くチームのプレイスタイルに馴染み、自身の持ち味を発揮して、チームの立ち上がりをサポートしたい」と語った。TUBCのB.LEAGUE ONEへの参入は決定しているが、シーズンを通して好成績を残し、確固たる地位を築くことが求められている。日本のプロリーグでの貴重な経験は、任序航の名声をさらに高めるだろう。彼は、近い将来、再びCBAの舞台に戻り、そしてアメリカのNBAへ、さらに中国代表として世界の舞台に立つことを夢見ている。

後進の道を拓く

バスケットボールは彼を故郷から連れ出し、そしていま、中日交流の最前線へと導いた。来日して間もなく、彼はTUBCの家本賢太郎代表とともに中国駐日本大使館を表敬訪問した。「中日文化交流の架け橋になってください」との言葉に、任序航は大きな責任と誇りを感じたという。

「頭で考えるのではなく、大胆に一歩を踏み出せば、思ってもみなかった成果が得られるはずです」――後輩へのエールのようでもあり、自らの挑戦を肯定する言葉のようでもあった。日本での練習や生活について尋ねると、「充実しています」と、力強い言葉が返ってきた。

コートで任序航が受けたのは、拍手だけではない。言葉を超えた理解と温かな心遣いもあった。TUBCに加入して初めての練習中、任序航は焦ってチームメイトに肘をぶつけてしまった。謝ろうとした瞬間、日本人のチームメイトから「コートに立てば、そんなこともある。気にするな」と声をかけられ、胸を打たれたという。1か月足らずで、彼には多くの日本人ファンが生まれた。ある日本人ファンは中国語で「あなたのプレーに感動しました」と励ましの手紙をくれたという。

任序航は、海外留学に頼らずとも、中国のユースで育った選手が異国のプロリーグで堂々と戦えることを証明して見せた。

取材後記

有明海岸を前に、観光客が潮風を受けて足を止めていた。夕陽が空を金色と紅に染めていた。22歳の任序航は、まだ気づいていないかもしれない。自らの選択は単なるブレークスルーではなく、後に続く者たちのために道を拓き、新たな可能性を示しているということに。彼の伝説は、まだ始まったばかりだ。