「スマートエネルギーWEEK」で際立つ華人経営者の先見性

3月17日から19日にかけて、「スマートエネルギーWEEK(SMART ENERGY WEEK【春】2026)」が東京国際展示場で開催された。世界最大級の新エネルギー総合展である本展には、世界40以上の国・地域から約1600社の企業・機関が出展し、規模・来場者数ともに過去最多を記録した。世界のエネルギー転換の動向を読み解くうえで、重要な場となっている。

本展は「産業チェーン全体を網羅する」という特徴のもと、太陽光発電、風力発電、水素エネルギー、蓄電、スマートグリッド、エネルギー管理などの分野において、最先端企業が一堂に会した。会場では、高効率の太陽光モジュールや家庭用蓄電システム、水素エネルギー関連ソリューション、スマートグリッドの各種技術まで、幅広い製品と活用事例が紹介され、次世代エネルギー社会の姿が具体的に示された。

また、日本の経済産業省、環境省、農林水産省といった政府機関に加え、東京電力やホンダなどの企業関係者が登壇し、政策の方向性や技術開発、産業連携をテーマに200回以上の講演・セミナーが行われた。日本におけるエネルギー転換の取り組みと、その制度設計や産業連携の強みが浮き彫りとなった。

本誌記者が注目したのは、この国際的な舞台において、中国企業や在日華人経営者の存在感がひときわ際立っていた点である。再生可能エネルギーの分野で急速な発展を遂げ、産業基盤も整っている中国は、技術力と規模の強みを背景に、カーボンニュートラルに向けた取り組みを積極的に発信している。

今回の展示会でも、多くの中国ブランドや在日中国系企業が出展し、高い技術力を示すとともに、日本市場への理解の深さと長期的な事業展開の姿勢を印象づけた。派能科技(PYLON TECH)は、その代表的な企業の一つである。中国でいち早くエネルギー貯蔵を主力事業として上場した企業であり、本社を上海に置き、世界8拠点を展開、製品は90以上の国・地域に展開している。

同社日本法人のゼネラルマネージャーである張林峰氏は取材に対し、中国のエネルギー貯蔵技術は近年大きく進展しており、安全性、サイクル寿命、コストの各面で優位性を確立していると語った。

また、日本では住宅スペースが限られ、電力需要が分散しているという特性を踏まえ、同社は高密度・小型化した蓄電製品を開発。容量設計や安定性の面でも高い適応力を備え、日本市場での関心を集めている。

中国企業がいかに国際市場で展開していくかについて、張林峰氏は次のように語る。「これは単に企業の行動の問題ではなく、経営者の判断がより重要である。経営者は企業運営だけでなく、市場や将来の動向を見据える必要がある。とりわけ日本市場では、自然災害が多いという特性を踏まえれば、エネルギー貯蔵は大きなビジネス機会となる。当社はこの分野に注力し、日本における新たな成長機会を切り拓いています」。

同様に業界の注目を集めているのが、在日華人が設立した総合エネルギー企業である日本BSL株式会社である。同社は、いわゆるワンストップ型のサービスを強みとし、土地取引、各種許認可の取得、プロジェクト開発、施工、系統接続に至るまで、幅広い業務を一体的に手がけている。

代表取締役の劉愛平氏は取材に対し、日本ではエネルギー構造の転換が進んでおり、分散型エネルギーや家庭用蓄電の分野には大きな成長余地があると指摘する。独自に開発したエネルギー管理システム(EMS)により、エネルギーの効率的な運用と最適配分を実現し、一般家庭向けに安定的で経済性の高いエネルギー供給サービスを提供している。こうした取り組みは、日本の生活シーンにも徐々に広がりつつある。

さらに劉氏は、「経営者は未来との競争の最前線に立っている。なかでもエネルギーは、その行方を左右する重要な分野の一つである。将来の競争に後れを取らないためにも、学び続け、変化を的確に捉えていくことが不可欠だ」と語った。

さらに、オデッセイ・グループ中国事務所の李悦所長が提案した新たな太陽光発電ソリューションも、本展の注目を集めた。このソリューションは、オデッセイ・グループと海泰新能が共同開発したもので、既存設備の技術更新によって、比較的少ない投資で発電効率の向上を実現する点に特徴がある。とりわけ、更新時期を迎えた日本の中小規模の太陽光発電所に適した内容となっている。

世界新エネルギー企業トップ500に名を連ねる海泰新能は、世界6カ所に生産拠点を持ち、安定した製造体制と技術力を備える。こうした基盤が、今回の取り組みを支えている。

既存設備の更新というアプローチは、コスト削減につながるだけでなく、日本のエネルギー転換に向けた現実的で実行性の高い選択肢としても注目される。

李悦氏は取材に対し、経営者の役割についても言及した。今回、多くの中国企業や在日中国系企業が出展したことについて、「中国人経営者の実力を示すものだ」との見方を示した。

また、真の競争は製品や技術だけでなく、「運営システム」の優劣にあると強調する。技術や資本を現地のニーズと結びつけられる企業こそが、今後のエネルギー分野で優位に立つ可能性が高いという。

さらに、日本の制度や市場ルール、商習慣の違いに直面しながらも、在日中国人経営者は「ルールを踏まえつつ、新たな道を切り拓く」というバランスを取り、着実に事業を伸ばしている。こうした点にこそ、日本市場で存在感を高める中国人経営者の強みがある。

展示会全体を通して見ると、日本のエネルギー市場における中国企業や中国人経営者の役割は、「参加する側」から「市場を動かす存在」へと変わりつつあることがうかがえる。彼らは技術や製品を提供するだけでなく、日本の制度や市場ニーズ、社会の特徴を踏まえながら、異なるビジネス文化をつなぐ役割も果たしている。こうした現地に根ざした経営のあり方は、今後ますます重要になるだろう。

2026年の「スマートエネルギーWEEK」が示したのは、単なる技術展示ではなく、エネルギー転換が現実のものとして進んでいる姿である。その中で、中国企業の存在感と華人経営者の役割は一段と明確になりつつある。今後は国境を越えた連携がさらに進み、新たなエネルギー協力のかたちが築かれていくことが期待される。