翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その87

一般法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、 金融商品取引法関連自主規制規則として、業務取扱関係、顧客財産管理・システム安全管理等、勧誘・広告、AML/CFT・反社会的勢力対応、事故確認申請、苦情・紛争解決、金融商品仲介業者、従業員服務、外務員登録、金融商品仲介業者などを規定しております。

今回は認定協会のAML/CFT・反社会的勢力対応などの「暗号資産等関連デリバティブ取引業に係るマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する規則・ガイドライン」(以下「マネーローン対策規則」という)を紹介します。

  • リスクの特定

「マネーローン規則」第4条によると、第一種会員(デリバティブ) は、リスク評価に当たり、 原資産及び暗号資産等関連金融指標として取り扱う暗号資産等(以下「取扱暗号資産等」という。)や取引形態、国・地域、顧客の属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証し、自らが直面するマネロン・テロ資金供与リスクを特定しなければなりません。

また、上記の包括的かつ具体的な検証に当たっては、暗号資産等関連デリバティブ取引業務を行う業者が共通で有する特性に加え、自らの営業地域の地理的特性や、事業環境・経営戦略のあり方等、自らの個別具体的な特性を考慮しなければなりません。国・地域について検証を行うに当たっては、金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering(FATF))や内外の当局等から指摘を受けている国・地域も含め、包括的に、直接・間接の取引可能性を検証し、リスクを把握しなければなりません。

さらに、新たに取扱暗号資産等や取引形態及び新たな技術を活用して行う取引その他新たな態様による取引を行う場合、当該取扱暗号資産等を用いた取引の顧客への提供前に、当該商品・サービスのリスクの検証、及びその提供に係る提携先、連携先、委託先、買収先等のリスク管理態勢の有効性も含め、マネロン・テロ資金供与リスクを検証しなければならず、マネロン・テロ資金供与リスクについて、経営陣が、主導性を発揮して関係する全ての部門の連携・協働を確保した上で、リスクの包括的かつ具体的な検証を行わなければなりません。

第一種会員(デリバティブ)自らの事業環境・経営戦略等の複雑性も踏まえて、取扱暗号資産等及び取引形態、国・地域、顧客の属性等に関し、リスクの把握の鍵となる主要な指標を特定し、当該指標についての定量的な分析を行うことで、自らにとって重要なリスクの高低及びその変化を適時・適切に把握することに努力する必要があり、一定量の疑わしい取引の届出がある場合、単に法令に従い届出等を行うにとどまらず、届出件数及び金額等の比較可能な定量情報を分析し、部門・拠点・届出要因・検知シナリオ別等の比較等を行って、自らのリスクの検証の実効性の向上に努力する必要もあります。

 

  • 取引の謝絶

「マネーローン規則」第14条によると、第一種会員(デリバティブ)は、必要とされる情報の提供を顧客から受けられないなど、自らが定める適切な顧客管理を実施できないと判断した顧客・取引等については、取引の謝絶を行うこと等を含め、リスク遮断を図ることを検討しなければなりません。

次回へ続く