一葉の茶葉は千年の文化を帯し、私の人生をも温め潤してくれる。北京でも日本でも、茶は常に私と共にあった。それは単なる飲み物ではなく、私を成長に導いてくれる伴侶であり、文化の架け橋であり、安らぎでもある。

北京発、茶香に包まれた旅の始まり
私と茶との縁は北京に始まる。恩師である台湾の茶芸大師・範増平先生に心から感謝している。先生は四十年以上にわたって茶道の研究に奮励され、伝統と革新を融合し、東洋の美学を発揚してこられた。範先生の弟子は国内外で活躍する。かくいう私も、先生の薫陶によって、1998年、北京市原教高校の「茶芸班」の担任として、初めて茶文化を教育現場に導入した。当時の私は、まだ茶に対する理解は浅かったが、生徒たちが茶席で見せる集中力や落ち着いた所作に心を打たれることが多かった。彼らとともに稽古を重ねるうちに、茶芸は単なる技巧ではなく、自己修養の道であることに気付かされたのである。その間、生徒たちが、茶を飲むことは生活様式であるだけでなく、文化であることを体得できるよう、月刊誌『草木人』への寄稿を指導した。
茶道の教育的意義
私は常に、教師としていかにして生徒を成長へ導くべきかを考えてきた。その答えを、茶芸が教えてくれた。茶席において、子どもたちは忍耐と集中を学び、人や物事への関わり方を身につけていく。ある茶席で、普段あまり目立たない生徒が、茶碗を手にした瞬間に驚くほど落ち着いた所作を見せた。その瞬間、茶には自身の内に秘めた光を呼び覚ます力があるのだと心から感動した。茶の精神は「先苦後甘(苦労を乗り越えなければ幸せはやってこない)」であり、教育の道と重なる。生徒に寄り添う過程が、私自身を成長させてくれた。
茶と文化の架け橋として
2002年、私は幸運にも、数少ない教員の国費研修生として、横浜国立大学に留学することができた。来日当初は裏千家を学ぶつもりであったが、日本の家政科教育に息づく「茶の精神」に心を打たれた。日本では、茶がすでに生活に深く根ざしており、年長者も若者も、客を迎える際には必ず一杯の茶を出す。スーパーの棚には緑茶、紅茶、烏龍茶、健康茶など多種多様な茶が並ぶ。そして、シンプルな淹れ方が、すっきりとした甘い味わいを引き立てる。そこで私は考え始めた――どうすれば若者たちに茶の健康効果や素晴らしさを伝えることができるだろうかと。私は神奈川県日中友好協会の活動に参加し、東洋の文化を愛する友人たちに中国茶を紹介した。言葉は通じなくても、茶が最高のコミュニケーションツールとなり、茶を口にした瞬間、心の距離が静かに縮まっていくのを感じた。

キャンパスに茶の香りを広げる
日本での学びや暮らしの中で、茶は味覚を楽しむ以上に、身心を養生するものであることに気付いた。ある茶芸の講座がきっかけとなり、私は100年以上の歴史を誇る横浜山手中華学校に教師として招かれた。日々の授業は多忙であるが、一杯の茶が心を落ち着かせてくれる。茶のさわやかな香りが気を鎮め、頭を覚醒させてくれる。ほのかな苦味は心を清めてくれる。私は、茶は心身を健やかにし、美を体現するものであり、内面と外面を調和させるものであることを少しずつ理解するようになった。茶がもたらす調和を生徒たちにも伝えたいと願っている。私は授業で中国語を教えるだけでなく、課外活動の茶芸部では、「茶のように穏やかに悠然と、そして清々しく揺るぎなくあれ」と伝えている。彼らがこれから先、どこにいても安らぎと優雅さを保ち続けてくれることを願っている。

茶芸は芸術表現であり、生活哲学
茶芸は、色・香・味の鑑賞にとどまらない。そこには東洋の美学が息づいている。茶席における起承転結、茶具の組み合わせ、空間設定――すべてが人と自然、人と人の微妙な交わりを表現している。茶席は芸術表現の場であると同時に、そこには生活哲学がある。「簡素の中に豊かさを見いだす知恵」や、「和をもって美とする心」を教えている。人びとは煩雑な日々の中にも静寂を見いだすことができる。

伝え、分かち合う
私は中日交流を通じて、茶芸は個人の修養に留まらず、文化交流の使命を担っていると考えるようになった。特に、日本中国茶研究所所長の楊多傑先生、『人民日報海外版日本月刊』及び『日本華僑報』発行人の呉暁楽先生、浙江農林大学茶文化学院の潘城先生、上海茶葉学会会員の李星先生との出会いによって、私は多くのことを学ばせていただいた。茶人として、教師として、文化の伝え手として、多くの人びとに、茶を身近なものとして理解を深め、愛してもらえるよう、微力を尽くしたいと願っている。茶には東洋の文化が投影されている。その苦みと甘みは人生の道程そのものである。一杯の茶が、長い人生の道程を照らしてくれる。私の北京から日本に至るすべての歩みは、茶によって豊かに彩られてきた。
私はこれまで関わってくださった友人や先生方への感謝を忘れたことはない。彼らの励ましと導きは、静かに湧き出でる泉のように私を育み、常に前進の力を与えてくれた。彼らの導きによって、私は確信することができた――茶は単なる飲み物ではない。それは人生の伴侶であり、心の支えなのだ。これこそ、私が一生をかけて伝えていきたい信念である。私はこれからも、茶を介して、多くの人びとに温もりと安らぎを届けていきたい。一杯の茶が国境を越え、魂の言葉となり、文化を結び、生徒、そして世界への美しい贈り物となることを願って。

王 蕊 プロフィール
北京出身。1995年より教育の道に進み、茶芸班の担任を務めて以来、二十年以上にわたり茶文化教育に携わる。北京師範大学大学院修了後、国費留学生として日本・横浜国立大学大学院に学ぶ。茶を通じて心を育む教育と日中文化交流に力を注いでいる。
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