日本における暗号資産の制度について、一般法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、重要な役割を果たしております。認定協会は、暗号資産交換業、電子決済手段等取引業及び資金移動業並びに暗号資産等関連デリバティブ取引業の自主規制団体であり、資金決済法に基づく「認定資金決済事業者協会」と金融商品取引法に基づく「認定金融商品取引業協会」を兼ねております。
今回は認定協会の電子決済手段等取引業に関する規則·ガイドラインを紹介し、主に認定協会の電子決済手段の取り扱いに関する規則・ガイドラインを説明します。
電子決済手段等取引業に関する規則の構成
認定協会は、電子決済手段等取引業に関する規則·ガイドラインとして、電子決済手段の取り扱いに関する規則・ガイドラインを含む以下の17つの規則・ガイドラインを規定しております。
業務取扱関係
・特定電子決済手段等取引契約に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段の取扱いに関する規則・ガイドライン
・電子決済手段信用取引に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係る利用者の管理及び説明に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係る電子決済手段関係情報の管理体制の整備に関する規則・ガイドライン
利用者財産管理・システム安全管理等
・電子決済手段関連業務に係る利用者財産の管理等に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係るシステムリスク管理に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係る緊急時対応に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係る情報の安全管理に関する規則・ガイドライン
AML/CFT・反社会的勢力対応
・電子決済手段関連業務に係るマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する規則・ガイドライン
・電子決済手段関連業務に係る反社会的勢力との関係遮断に関する規則
・電子決済手段関連業務に係る外為法令に関する規則・ガイドライン
苦情・紛争解決
・電子決済手段関連業務に係る苦情処理及び紛争解決に関する規則
・電子決済手段関連業務に係る苦情処理及び紛争解決に関する規則に関する細則
従業員服務
・電子決済手段関連業務に係る従業員等の服務に関する規則・ガイドライン
取り扱い審査
第一種会員(電子決済手段)は、取扱電子決済手段の審査に関する社内規則を定めなければなりません。第一種会員(電子決済手段)は、この社内規則の策定にあたっては、第1号及び第2号に掲げる事項を審査項目に含めなければならず、また、外国電子決済手段を取り扱うにあたっては第1号及び第2号に加え、第3号も審査項目に含めなければなりません(以下、本項で審査項目に含める必要があるものを「必要審査項目」という。)。
(1) 取扱電子決済手段に関する事項
イ システムの安全性・強靭性に関する事項
ロ 発行状況に関する事項
ハ 取引状況に関する事項
ニ 利用状況に関する事項
ホ 発行者その他の電子決済手段の関係者に関する事項
ヘ 電子決済手段の価値の安定のために講じられている措置の内容
ト 電子決済手段及び記録台帳の技術に関する事項
チ 電子決済手段の権利の移転時期及びその手続きに関する事項
リ 発行者におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する事項
ヌ 電子決済手段の償還に関する事項
ル 利用者の権利保護に関する事項
ヲ 対象プロジェクトに関する事項(もしあれば)
(2) 第一種会員(電子決済手段)の社内体制等に関する事項
イ 電子決済手段の安全管理体制に関する事項
ロ 電子決済手段の技術対応能力に関する事項
ハ 自社の取引処理能力に関する事項
ニ 財務耐久性に関する事項
ホ 需要見込みに関する事項
ヘ 利用者との利益相反に関する事項
ト 取引条件に関する事項
チ 当該会員におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢に関する事項(犯罪収益移転防止法第11条に規定される取引時確認等の措置に係る態勢の整備を含む。)
リ 当該会員が利用者から電子決済手段の償還請求を受け付けることとしている場合には、利用者への償還手続に関する事項
ヌ 発行者との間の電子決済手段関連業務に係る契約に関する事項(外国電子決済手段を取り扱う場合であって、電子決済手段等取引業者に関する内閣府令(令和 5年内閣府令第48号)(以下「府令」という。)第30条第1項第6号イに掲げる措置を講じている場合を除く。)
⑶ 外国電子決済手段の適切性に関する事項
イ 取り扱おうとする外国電子決済手段が府令第30条第1項第5号イからハまでに規定する要件を満たすことの確認に関する事項
ロ 当該会員において府令第30条第1項第6号の措置を講ずるために必要な事項
ハ 外国電子決済手段の発行者が、自ら又は第三者をして、国内の一般利用者に対し電子決済手段の発行及び償還並びにその勧誘行為と評価される行為を行わないこととなっているかの確認に関する事項
また、第一種会員(電子決済手段)は、取扱電子決済手段を取り扱った場合に直面し得るリスク(以下「取扱リスク」という。)を包括的かつ具体的に検証の上、電子決済手段に係る取扱リスクを特定しなければなりません。
さらに、第一種会員(電子決済手段)は、前項に基づき特定した取扱リスクを、必要審査項目に基づいて適切に評価の上、当該電子決済手段の取扱いの適否を審査しなければなりません。
認定協会への届出
第一種会員(電子決済手段)は、新たな電子決済手段の取扱いを開始する場合には、認定協会に対して、次の各号に掲げる書
類を事前に届出なければなりません。
(1)認定協会が別に作成する審査報告書
(2)認定協会が別に作成する当該電子決済手段の概要説明書(以下「概要説明書」という。)
(3)当該電子決済手段に関して利用者に開示・提供する資料等
(4)当該電子決済手段に係るホワイトペーパーその他当該電子決済手段の内容を説明した資料
(5)当該電子決済手段の流通状況に関する資料(流通実績がある場合に限る。)
(6)当該電子決済手段に関連する事件・事故に関する資料
(7)当該電子決済手段の管理に関する社内規則や事務マニュアル等を記した書面
(8)当該電子決済手段の管理に関する社内検証を行った資料
(9)当該電子決済手段を取り扱う電子決済手段の売買等の概要書
(10)概要説明書を作成・管理する者の氏名、役職、所属部署、経歴、連絡方法を記した書面
(11)当該電子決済手段の管理者等の関係者の反社会的勢力との関係性その他マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の関連性について社内検証を行った資料
(12)その他協会が提出を求める書面又は資料
また、第一種会員(電子決済手段)は、前項の届出を行った場合において、当該会員が当該電子決済手段の取扱いを開始することについて、認定協会が異議(取扱いにあたっての付帯条件の設定、変更を含む。以下同じ。)を述べた場合においては、かかる異議に従うことなく当該電子決済手段の取扱いを開始してはならず、認定協会は、第一種会員(電子決済手段)から届出のあった電子決済手段の取扱いの適否を判断するために必要な調査を行った上で前項に基づく異議を述べるか否かの判断(以下「協会事前審査」という。) を行うものとします。ただし、当該電子決済手段が資金決済法その他の国内法に基づいて必要とされる諸手続を完了して発行されたものである場合にあっては、 審査項目について、当該電子決済手段に係る協会事前審査は不要とします。
さらに、第一種会員(電子決済手段)は、認定協会が当該会員に対して行った、電子決済手段の取扱いを開始することについての異議(以下において「判断」という。)に疑義がある場合には、別途定める細則に従って異議の申し立てを行うことができ、第一種会員(電子決済手段)は、前項に基づく異議の申し立てにより判断についての疑義が解消されない場合、当該判断について「暗号資産の取扱いに関する規則第5条第7項、電子決済手段の取扱いに関する規則第5条第5項及びデリバティブ関連取扱暗号資産等に関する規則第5条第7項に基づく判断についての不服申立てに関する規則」 に従い不服審査会に不服の申し立てを行うことができます。
ちなみに、第一種会員(電子決済手段)は、新たに電子決済手段の取扱いを開始する場合には、自社のウェブサイトその他利用者が容易に閲覧可能な伝達手段を用いて、概要説明書を公表しなければならず、第一種会員(電子決済手段)は、定期的に又は必要に応じて適時に、概要説明書の内容を更新しなければなりません。また、第一種会員(電子決済手段)は、概要説明書を更新した場合には、更新後の概要説明書を協会に提出するとともに、自社のウェブサイトその他利用者が容易に閲覧可能な伝達手段を用いて、速やかにこれを公表する必要があります。
次回へ続く
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