時代が大きく変わろうとしている。2026年ダヴォス会議で最も議論されたのは、AGI時代の到来による社会の変化だ。話題を呼んだのは、サングラスを付けてスピーチをしたフランスのマクロン氏、カナダのカーニー首相、そして歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏だ。個人的には悲観主義のハラリ氏が示した「変化が早すぎること」への危惧のほうに共感する部分が多いが、楽観主義のイーロン・マスクの方が人気を集めている。ただ、現代を生きる私たちは、その両方を知っておく必要がある。
香港と隣り合わせの深圳は、今やアメリカのシリコンバレーと競合できるほどの最先端テクノロジーの街だ。分野によっては、すでに先を走っているかもしれない。人型ロボット、A Iやドローンなどの分野だ。
中国の美術館業界では、近年、何人かのキーパーソンの人事異動が話題となっている。そのうち三人ほどを取り上げてみよう。
皮力氏
まず、皮力という人物から挙げてみよう。彼は北京の中央美術大学で博士号を取得後、母校の中央美術大学芸術管理学部で教鞭をとり、副主任を約1年間勤めた。ピアリーという画廊も共同経営で運営していたが、2012年に香港に移住し、ウリ・シグ氏のコレクション管理を担当、M+美術館のメイン・キュレーターとして、ウリ・シグ・コレクション展を企画した。その後、11年を経た2023年に香港・大館現代美術館(Tai Kwun Contemporary)の館長に就任するが、つい最近、12月5日付で、深圳にあるテンセントの新館建設準備のため、人事異動が決まったと発表している。
その香港に1月下旬、出張で訪れた際、皮力氏の企画による張培力(チャン・ペイリ)の個展が開催されていた。チャン・ペイリは、昨年のサザビーズ・オークションで80年代の「手袋」をモチーフとした平面作品が15億円で落札された記録を持つ中国の作家だ。皮氏にとって大館での最後の企画とも言えるアート・トークには、予定が合わず参加できなかったのは多少残念であったが、香港に移住してからの13年間、M+で企画したウリ・シグ展は、80年代から90年代を網羅する中国「85新潮」時代の作品、ポリティカル・ポップ、映像作品、実験的な作品シリーズ、インスタレーション作品群などが展示されていた。また、大館館長に就任してからの展示では、前衛芸術家「ブルース・ナウマン展」、日本の作家「河原恩(かわら・おん)展」、「保持在線:2008年後の芸術と中国」展など、印象深い展示が多かった。アート界の関係者は、毎年アート・バーゼル香港の時期にM+と大館に集まり、これらの展示会は必ず訪れていた。皮氏の後に大館に赴任してくる人物もまた中国のアート・シーンでは興味深いキーパーソンだ。
UCCA ART CENTER(ULLENS CENTER FOR CONTEMPORARY ART,中国語では尤伦斯当代艺术中心)は、北京の798芸術区に2007年に開館した中国最先端の独立系現代アート機関である。オーナー夫婦のユーレンス夫妻はベルギー人のコレクターで、中国現代アートの黎明期において重要な役割を果たした。アメリカ人でありながら中国語が堪能なフイリップは、アメリカのデユーク大学で中国語を学ぶ機会を得て、中国現代アートにふれ、UCCAで館長を13年間勤めた。今でこそ中国では美術館が数多く作れられているが、2007年当時は美術館や画廊はほとんどなかった。
ユーレンス夫妻もそれぞれ亡くなり、現在では中国資本にオーナー・チェンジされ、上海分館の開設や、宜興などへの拡張を通じて、大きな変化を遂げてきた。2003年にはニューヨークで半年間、ニューヨーク・サザビーズで図録制作に携わったらしいが、その際に中国現代アートの盛り上がりに出会ったという。中国に渡り、「アート・フォーラム」の中国版雑誌の仕事を経て、2001年よりUCCA ART CENTERの館長に就任する。長年にわたり、中国現代アート・シーンにおいて非常に重要な役割を果たし、実験的でアバンギャルドな国際展を数多く企画・開催してきた。彼は来月2月23日より、香港・大館において皮力の後任として赴任することになる。
今日美術館も北京の民間美術館の中では重要な存在であった。張子康が初代館長だ。中央美術大学美術館館長、北京新繹美術館館長を歴任したあと、今回、深圳新国際美術館に赴任することとなった。
以上の三人のキーパーソンの人事異動と軌を一にして、京東やテンセントなどのWEB2.0系大手企業が相次いで深圳での美術館設立に乗り出している。
これまで中国のアート・シーンでは、明園美術館や民間美術館、龍美術館、宝龍美術館、復興芸術中心など、不動産会社主体の美術館が中心であっただけに、IT大手へと担い手が移行することに関しては賛否両論だ。
日本や韓国では近年、美術館館長に女性が就くケースが増えているのに対し、中国のアート・シーンにおける今回の人事異動のキーパーソンはいまだ男性中心である。ただし、UCCA ART CENTERの新館長および副館長は女性だ。
「美術館レビュー」と題したこのコラムでは、今後、世界各地の美術館館長をインタビューする企画内容だ。どんな才能に出会えるか今から楽しみだ。

洪欣
東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。ダブルスクールで文化服装学院デザイン課程の修士号取得。その後パリに留学した経験を持つ。デザイナー兼現代美術家、画廊経営者、作家としてマルチに活躍。アジアを世界に発信する文化人。
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