「AI+教育」が学びのスタイルを多様に

近年、「AI+教育」関連製品は次々と登場している。教室ではAI黒板が教師の強い味方となり、家庭ではAI学習機が子どもたちの「プライベート家庭教師」と化している。スマートフォン向けアプリにも学生向けのAI学習支援機能が続々と搭載されるなど、その広がりは急速だ。では、これらの製品にはどのような革新があるのか。AIと教育の融合がもたらす変化とは何か。

授業の「AIアシスタント」

現在、AI技術は教室に急速に浸透している。教育部はこのほど小中学校向け人工知能教育拠点の第2陣候補校として325校を公表し、2024年に発表された184校に続く形となった。全国の教室ではAI搭載機器や学習プラットフォームが教師の「知恵の助手」として活用されている。

2025年世界インターネット大会「インターネットの光」博覧会では、記者は科大訊飛の展示ブースで新型AI教育機器「AI黒板」を目にした。中央にディスプレイ、両側に光学連動する副板を備え、手描きの図形や数式を認識して3D表示や展開図の提示ができる。光学文字認識と3D解析により図形を自動認識し、回転や断面表示も可能で、抽象的な数学概念の理解を助ける。英語ではバーチャル教師による発音訓練、国語では司馬遷や李白との“対話”機能もある。

科大訊飛教育部門の于籍尧氏は「授業メディアはプロジェクターやPCからAI黒板へと進化し、授業も“知識の一方通行”から“教師と生徒の共鳴”へと変化しています」と語る。さらにAI黒板は授業運営の自動化や教育診断レポートの作成にも対応し、指導方法の可視化にも役立つ。

山東省棗荘市では、AI黒板導入により採点負担が57%減り、授業効率は約50%向上。現在、全国300以上の都市、1400超の区・県、約10万のクラスで常用されている。導入後は授業内の質問解決率が85%、生徒の参加率が72%向上したという。

「AI黒板は単なる板書ツールではなく、授業に深く組み込まれた“AI教室アシスタント”です。公平で効率的かつスマートな学びを支えます」と于氏は述べている。

家庭学習を支える

「AI家庭教師」

家庭学習では、AI学習機が新時代の“家庭教師”として注目されている。多くの教材ブランドが機能を強化し、AIによる作文添削や解説、質疑応答などを通じて、予習・復習の効率化を支えている。

「AIを活用した学習機器により、“高品質・大規模・個別最適化”を同時に実現できるようになりました」と学而思のCTO・田密氏は語る。AI学習機は、子どもの学習状況に応じた分析・指導・提案が可能で、対話形式で質問できるため心理的負担も少ない。

処理性能の向上も著しい。「手書きの書き直しや連続文字、枠外記入などもAIモデルの高度訓練により認識精度が大きく改善し、操作も非常に滑らかになりました」と田氏は説明する。

猿力科技の「小猿AI学習機」では、自然な対話機能を追求。問題集を指さし「先生、この問題を教えて」と話しかけるだけでAIが意図を理解して解説を始め、途中で「このステップは合っていますか?」と聞けば、リアルタイムの筆跡まで読み取り誤りや理由を指摘する。

「学習の流れを止めず、思考の連続性を保つことが重要です。AIは答えを直接示すのではなく、導く形で説明し、生徒が主体的に考えを組み立てられるよう支援します」と張蘭璞氏は語る。

田氏は、AI学習機はすでに“万能型教師”の原型を備えており、今後さらに多様な教育場面に対応し、高度化が進むと見通している。

常にそばにいる

「AIパートナー」

教室にAI機器がなく、専用の学習端末を購入しなくても、スマートフォンさえあればAI学習は可能だ。「AI+教育」の市場拡大を背景に、バイトダンスやアリババなど大手IT企業も参入しており、豆包愛学(Doubao Study)や夸克学習(Quark Study)など、教育専用AI機能を備えたサービスが広がっている。

豆包は総合AI製品だが、教育に特化した「豆包愛学」では、小中学生向けにAI家庭教師、誤答分析、作文添削などの機能を提供している。担当者は「教育には専門性と正確性、学習プロセス設計の深い理解が必要です。豆包愛学を独立開発したのは、教育シーンに集中し、“学びと学習者を理解するAI”を目指したためです」と語る。単に問題を解くのではなく、子どもが早期からAIを理解し、使いこなせるようにすることも狙いだ。

「AI+教育」の大きな意義のひとつは、教育格差の是正である。担当者は、AI技術により優れた教育資源が地理的制約を超えて届き、地方でも質の高い学習機会が提供されるようになったとし、格差縮小に寄与していると述べる。今後、技術進歩と教育理念の変化に伴い、AIは補助的な存在から教育エコシステムの一部へ発展していくと見られる。

将来的には、問題解決だけでなく、学習履歴の分析による個別最適学習ルートの生成や演習計画作成が可能になり、「一人ひとりに応じた指導」の実現につながる。さらに、ディベート訓練やプロジェクト型学習、課題探索など、新たな学習体験を生み出し、思考力や創造性の向上にも寄与するとされる。VRとの連携により、仮想実験室や歴史シーンの再現など、体感型学習が可能になり、抽象概念の理解を深める効果も期待される。

ただし、専門家は「AI教育製品が人間の教師を完全に置き換えることはない」と指摘する。「教育の本質は人を育てることにあり、感情の交流や価値観の形成、人格教育が不可欠です。AIはあくまで教師の頼もしい補助者であり、生徒の良き学習パートナーとして、教育をより効率的で公平、そして温かいものにしていく存在です」。