2025年8月1日、東京にあるBeyondsoftの大崎イノベーションラボ(OSAKI Innovation Lab)にて「米国エコシステムから日本実践へ:投資戦略のローカライズの道筋」をテーマとしたシンポジウムが開催された。このイベントはBeyondsoft(博彦科技;ビヨンドソフト)が主催し、中国、日本など各地から40社を超えるAI産業のリーダー企業と革新的ベンチャーキャピタル(VC)の代表が集まり、国際的なイノベーション協力の重要なプラットフォームとしての大崎イノベーションラボの役割を浮き彫りにした。Beyondsoft大崎イノベーションラボはシンガポール、北京、上海などのイノベーションの中心地と連携し、地域、産業、文化を越えたグローバルなイノベーションネットワークの構築に注力し、イノベーション産業の高品質かつ持続可能な発展に貢献することを目指している。
Beyondsoftが日本でイノベーション本格始動
Beyondsoftの創業者兼董事長である王斌氏は、同社のグローバル発展戦略、技術力、ローカライズの実践について体系的に説明し、特に日本市場における展開とビジョンを重点的に紹介した。現在、Beyondsoftはアメリカ、日本、中国、シンガポール、インド、フィリピン、マレーシアに拠点を設けており、その業務範囲は世界7大主要経済圏および13の主要国に及ぶ。これにより、広がりと深みを兼ね備えたグローバルなサービスネットワークを構築している。
日本においては、「大崎イノベーションラボ」が重要なイノベーション拠点として設立されている。同ラボは、文化、技術、産業の境界を越えた融合を推進し、グローバルな視点と日本市場の価値を統合することで、イノベーションの潜在力を引き出し、市場の変革と国際化を支援している。Beyondsoftは、グローバルな多拠点連携によるイノベーション戦略を通じて、共創・共栄の国際協力体制を継続的に拡大し、世界の顧客に対して期待を上回る価値とサービスを提供し続けている。
VCゲストが集結 基調講演で深い業界洞察
NETSTARSのチーフテクノロジーオフィサー(CTO)である陳斌氏は、「日本市場における投資の未来の機会とトレンド」をテーマに、シンガポール航空、日立、ノキア、PayPalなど有名企業での国際的な経験を基に、日本市場に対する観察と考察を深く共有した。
陳氏は、日本が安定した経済、卓越した技術、高度な人材を有する国であり、精密製造、産業用ロボット、エンジニアリング技術において世界的な競争力を持つことを指摘した。さらに、政府と大手企業の連携によって、次々とイノベーションが生まれており、日本は今や投資家から注目される重要な市場となっていると強調した。加えて、日本市場で成功を収めるためには、米国型のビジネスモデルを単純に模倣するのではなく、日本ならではの強みを的確に理解したうえで、「融合」と「現地化」によるイノベーションを実現することだと鍵であると述べた。
Mercer Legacyのパートナーである王欣潔氏は、現在の米国市場において、AIシステムは基盤インフラ、モデル構築、アプリケーション統合から自律型インテリジェントエージェントに至るまで、システムレベルでのイノベーション変革を遂げており、全工程にわたり高効率かつ多様な技術的ブレイクスルーが生まれていると指摘した。過去1年間において、米国のAI分野では基礎的な革新が相次いで現れている。DeepSeek-R1は米国でダウンロード数第1位のAIアプリケーションとなり、AnthropicはClaude 4をリリース、OpenAIは記憶機能を導入しWhatsAppなど日常的なコミュニケーション領域にも参入するなど、AIへの投資熱はかつてない高まりを見せている。
王氏はさらに、今後のAI分野における勝者は、特定の業界・領域において高い影響力を持つスマートエージェントを構築できる企業であると指摘した。AIはもはや単なる技術的ツールにとどまらず、業務プロセスや戦略展開における重要な構成要素となっていると強調した。
Yamaha Motor Ventures(ヤマハ・モーター・ベンチャーズ)のCEO兼代表取締役である大西圭一氏は、日本には3つの核心的な優位性があるとの見解を示した。すなわち、完全なサプライチェーン、グローバル展開、そしてAIにおける計算力である。大西氏は、日本はロボット密度において世界第2位であり、大量のデータ生成センターとしての潜在力を有していると指摘した。また、高齢化という社会課題を抱える一方で、スマート介護をはじめとする新たな産業が着実に育ちつつあると述べた。さらに氏は、日本が現在、工業強国としての再構築における重要な転換期にあると強調し、より多くのパートナーの参加を呼びかけた。そして、日本のものづくりがAI時代において新たな価値を創出していくために、共に探求していくことの重要性を訴えた。
専門家が多角的に議論 最新トレンドを共有
パネルディスカッションでは、日米間のクロスボーダー投資の動向、スタートアップ企業の成長経路、イノベーション・エコシステムの構築に焦点が当てられた。王欣潔氏がモデレーターを務め、パネリストとして、陳斌氏、大西圭一氏、スプリングキャピタル創業者パートナーの苗春亭氏、デロイトトーマツ中国事業部責任者の厳諄氏が登壇した。これら5名の専門家は、ベンチャーキャピタル、テクノロジー企業、製造業といった多様な分野を代表し、それぞれの立場から知見を交えた活発な議論を展開した。
陳斌氏は、AIが日本の決済および小売分野において大きな可能性を秘めており、運営プロセスの最適化にとどまらず、高齢化社会を背景とした高齢者介護などへの応用拡大も期待されていると述べた。
大西圭一氏は、日本は製造業の基盤が強固であり、AIとロボットの融合において生得的な優位性を有していると指摘した。
日本のスタートアップ企業の「海外進出」に関する課題について、苗春亭氏は、日本のスタートアップは技術力においては優れているものの、資金調達、市場拡大、ストーリーテリングの面では依然とし手慎重すぎる傾向があると指摘した。日本の起業家は、より積極的にビジョンを語り、投資を呼び込み、国際舞台における存在感を高めるべきであると提言した。
厳諄氏は、日米間の投資環境における制度的差異をマクロの視点から分析し、日本には現在、成長企業を支援する中長期的な資金プールが不足しているとの認識を示した。
今回のラウンドテーブル・セッションでは、米中日それぞれが有するAI、製造業のアップグレード、クロスボーダー起業における補完的な優位性が明らかにされ、今後のイノベーション協力に向けた実践的かつ有益な道筋と経験が共有された。
AI操業投資が検討 大崎ラボが高評価を得る
イベント終了後には、王欣潔氏、陳斌氏、そしてビヨンドソフトホールディングスの曹陽社長が、それぞれ『人民日報海外版日本月刊』のインタビューに応じた。
王欣潔氏は、AI技術の登場により、データ収集や市場分析の効率が大幅に向上し、農業や再生可能エネルギーなどの分野において重要な役割を果たしていると指摘した。AI関連の最先端技術分野において顕著な進展を遂げた米国に比べ、日本には依然として大きな改善の余地があると述べた。
また王氏は、大崎イノベーションラボについて、「オープンで包容力のある多機能プラットフォームであり、イノベーションと起業を推進する企業に対して、技術、法務、ビジネスの各側面から支援を提供する場である」と紹介し、その設立は極めて適切なタイミングであったと強調した。さらに、「大崎イノベーションラボから、より多くのイノベーション企業が生まれることを期待している」と述べた。
陳斌氏は、豊富な職業経験に基づき、中国、米国、シンガポール、日本におけるベンチャーキャピタルの運営モデル、起業環境、エコシステムの特徴を横断的に比較し、「それぞれに特徴があり、異なる文化背景から形成されている」と述べた。また、AI技術の発展は、日本が直面する労働力不足などの社会問題を効果的に緩和する可能性があると指摘し、「日本にとっては大きな機会である」と強調した。大崎イノベーションラボは、世界中の関係者にとって開かれた交流の場を提供しており、陳氏は、イノベーションラボから将来的にインキュベーション施設へと発展していくことに対しても大きな期待を寄せている。
曹陽氏は、大崎イノベーションラボはBeyondsoftによる産業アップグレードの成果の一つであり、資金、起業家、顧客の実際の利用シーンという三者の関係を密接に結びつけるものであると説明した。日本国内における優良なリソースを整理・連携させることで、「このプラットフォームを通じて各方面を結びつけ、閉ループを形成する」と述べた。優良な顧客はBeyondsoftにとって貴重な資産であり、質の高いサービス体験の提供こそが、同社が時代の変化に対応し続けるための鍵であると強調した。さらに大崎に加えて、Beyondsoftはシンガポール、北京、上海にもイノベーションラボを設立しており、これらの拠点も順次稼働を開始している。今後は、それらのラボを通じて、より多くのユニコーン企業の創出を支援していく方針である。
ゲストによる講演は、参加者に新たな視点と建設的なアイデアをもたらした。自由交流およびラウンドテーブル・セッションでは、会場全体が熱気に包まれ、活発な意見交換と温かい拍手に包まれた。
今回のシンポジウムの成功は、大崎イノベーションラボが有する膨大なポテンシャルを如実に示すものである。これは、同ラボが日米中の三者によるイノベーションおよび投資分野における高品質な交流のプラットフォームであるにとどまらず、Beyondsoftをはじめとする中国テクノロジー企業が、グローバル化の潮流の中で日本市場に深く根を下ろし、ローカルイノベーションと国際的な協業・融合を実現していることの象徴的な成果でもある。
Beyondsoftの日本における戦略的イノベーション拠点として、大崎イノベーションラボは、グローバルなリソースを継続的に集約し、最先端技術と連携しながら、ローカルなエコシステムの育成に取り組んでいる。その結果、同ラボは日中間のテクノロジー協力および国際的なイノベーション創出を推進するうえで、極めて重要なプラットフォームへと成長しつつある。
今後は、こうしたプラットフォーム機能の一層の充実と影響力の拡大により、グローバルな視野とローカルな価値を兼ね備えたイノベーションプロジェクトが継続的に生まれ、国際協力に新たな活力と持続的な推進力をもたらすことが期待されている。(写真:王亜囡、蔡暉)
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