近年、福鼎白茶が人気である。私は四川、湖南、貴州の茶の産地を訪れた際、福鼎白茶を加工・生産する工場にしばしば出くわした。福鼎白茶は福建の特産品であるのに、なぜ他省でもつくられているのかと疑問に思う人もいるだろう。それが福鼎白茶の人気を裏付けている。福鼎白茶の人気によって、福鼎産の茶葉が高騰し、福鼎産以外の福鼎白茶が市場に溢れるのは必然である。『西遊記』では妖怪が孫悟空に化け、『水滸伝』ではならず者が黒旋風に扮する。それは孫悟空の名声が高く、黒旋風の名が轟いているからだ。猪八戒に化ける者がいないのは、化ける価値がないからだ。福鼎白茶が人気だからこそ、偽物が生まれるのである。
模倣品の福鼎白茶の多くは、晩春から初夏に採れた茶葉でつくられる。この時期は、一番茶、二番茶の緑茶の加工が終わり、それ以上緑茶をつくっても高値では取り引きできない。そこで、その茶葉を白茶に加工すれば、多少なりとも収入が増えるというわけだ。ネット通販のライブ配信で、送料込み9.9元(約200円)の福鼎白茶が売られているのを目にするが、その多くがこれである。夏茶を原料にしているため、製茶は非常に粗く老葉ばかりで、知らなければ掃き集めた枯葉と勘違いしてしまうかもしれない。福鼎茶には、非常にニッチな品種が存在する。手のひらの大きさをした茶葉からつくられる「荒野黄金葉」である。9.9元の粗悪な茶餅とは異なり、本物の黄金葉は極めて稀少で貴重な白茶の一種である。ここでは「荒野黄金葉」の物語を紹介していこう。
私はかつて、福鼎市翁渓村の蝦蟆井自然村で、荒野黄金葉を飲んだことがある。翁渓村は小さな村であるが、福鼎白茶の産地として知られ、現在の代表的な白茶品種である華茶2号(福鼎大毫茶)はここで生まれた。『福鼎県志』によると、清光緒6年(1880年)、点頭鎮翁渓村の茶農家・林聖松が太姥山麓で芽立ちが良く葉の厚い野生の茶樹を偶然発見し、村に移植して丁寧に育てたのが大毫茶の始まりである。清末民初、翁渓村の茶師がこの品種でつくった白毫銀針は、爽やかな香りと芳醇な味わいで、世に出るや業界で反響を呼び、海上シルクロードの「軟黄金」と呼ばれた。百年以上をかけて、大毫茶は福鼎を代表する品種となった。現在、翁渓村には大毫の母樹茶園が整備され、樹齢百年を超える茶樹がそびえ立ち、福鼎茶の歴史を物語っている。翁渓村にはもともと茶畑が多かったのだが、1970年代、「山の斜面にもっと茶畑を拓こう」という政府の働きかけにより、地元農家と知識青年たちが多くの茶畑を開墾した。私が目にした野生の茶林は、その熱気に満ちた時代の遺産である。今やそれらの茶樹は樹齢40~50年を数える。後に農家生産請負制が敷かれると、そのまま山に放置され、農薬の散布も剪定もされず、自然のままに生長した。私が訪ねたときには、茶樹は3メートルを超えるほどに生長し、壮観であった。
この茶樹の収量は非常に少なく、一般的な茶樹の半分にも満たない。しかし農業とは品質と収量のせめぎ合いであり、野生の茶樹は収量こそ少ないが、味わいは格別だ。では、この野生の茶葉でつくるべきは銀針か、牡丹か、それとも寿眉か。いずれでもない。福鼎の野生茶は産量が極めて少なく、毎年清明節前後のわずか三日間しか収穫されない。摘まれるのは子どもの手のひらほどの大きさの葉である。見た目には夏茶に見えるが、正真正銘の上等な春茶だ。野生であるため摘採も困難で、機械は使えず、熟練の職人が梯子に上り半日かけて摘んでも数キロの生葉しか採れない。低い樹でも2メートル超、高いものは3メートル以上にもなるため、梯子なしでは摘採できない。手間がかかり希少であるため、この白茶は業界で「黄金葉」と呼ばれる。その名前から、人びとがこの白茶に特別な敬意を抱いていることが分かる。
黄金葉は、銀針・牡丹・寿眉といった一般的な白茶とは異なる独立した品種で、製法も大きく異なる。一般的に、白茶には炒青と揉捻の工程がなく、萎凋と乾燥のみである。しかし黄金葉は摘んだ生葉をまず釜で炒る。この工程を地元の茶農家は「一度洗う」と表現する。具体的には、茶師が釜を熱し生葉を入れて炒る。一般的な緑茶の殺青とは異なり、頃合いを見ながら少量の水を加え、葉が柔らかくなったら蓋をして蒸らす。家庭でレンズマメを炒めるのに似ている。製茶の工程には技法も秘術もなく、日常生活から生まれたものだ。黄金葉の「洗茶」にはおよそ30分を要し、「洗茶」された黄金葉は天日干しされ、以降の工程は一般の白茶と同じである。黄金葉がなぜ特別なのかお分かりいただけただろう。ニッチで市場に出回らないため、白茶の別物であっても差し障りない。お茶好きの人には、違った角度で楽しんでいただきたい。
翁渓村は大毫茶発祥の地だけあって、砂利や小石が混じった土壌は通気性が良く、茶樹の生育に適している。そのため、この地で育った黄金葉の茶湯は透き通るようで重苦しさがない。茶湯には、長年放置された田舎の奔放な野味が感じられ、柔らかく甘いだけではない。茶としてそのまま飲むのもよいが、「三白湯」に利用してもよい。我が家では冬の間、自家製の「三白湯」で喉を潤し、清肺湯として飲用している。つくり方は、白梨と白茶とユリネを一緒に煮る。梨を一個、茶葉を4グラム、ユリネは好みに応じて加え、沸騰したらさらに20分煮る。白茶は喉を潤し、梨は肺を清め、ユリネは乾きを癒す。「三白湯」は薬ではないが、薬効が期待でき、冬場に常飲できる。一般の白茶でもよいが、黄金葉を使えばさらに格別の味わいになる。ぜひ試してほしい。
古老の茶師は、代々この黄金葉をつくってきたと話してくれた。しかし、味は良くても見栄えが悪いため、昔から自家用として飲用され、市場に出回ることはなく、知る人も少ない。産地の人びとこそ、真に黄金葉を知る人たちなのだ。黄金葉は白茶なのか、寿眉なのか、それとも牡丹なのかとこだわる人がいるかもしれない。しかし、そんなことはどうでもよい。産地の人びとは都会人のように概念に縛られることはない。真に茶を理解する人にとって、黄金葉がどの茶に分類されるかは重要ではない。重要なのは美味しいかどうかである。
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